EC・ネットショップの棚卸差異を改善するには?原因と具体的な対策を解説

EC・ネットショップの棚卸差異を改善するには?原因と具体的な対策を解説

EC事業における棚卸差異とは、記録上の在庫数と実際の在庫数が合わないトラブルのことをいいます。

今回は棚卸差異とは何か、棚卸差異の種類、生じる原因、改善方法などを詳しくご紹介します。

棚卸差異とは

棚卸差異とは帳簿上の在庫と実在庫の差のことをいいます。

棚卸差異が出る状況というのは、在庫管理の方法に問題点があるということなので、分析を行う必要があります。

仮に棚卸差異に対してすぐに対処しなかった場合、会社の信用を失うことはもちろん、利益を損ねることにも繋がります。

差異分析は実地棚卸の後に、結果と帳簿の数字を比べて行います。なぜ差異が生じているのか常に調査し対策を立てることが重要です。

分析した結果、大きな差異がある場合はその商品の実地棚卸を再度行い、それでも改善が見られないときは実在庫に帳簿の数字を合わせます。

棚卸差異の種類

棚卸差異には種類が2つあり、棚卸差異率がプラスの数字の場合を「棚卸差益」、棚卸差異がマイナスの数字の場合を「棚卸差損」といいます。

棚卸差損

帳簿上の数よりも実際に数えた数の方が少ない場合

例)帳簿在庫が200個に対して実在庫が190個

棚卸差益

帳簿上の数よりも実際に数えた数の方が多い場合

例)帳簿在庫が200個に対して実在庫が210個

棚卸差異が生じる原因

作業の人的ミス

大きな原因は作業ミスにあるといわれています。

パソコンでデータを管理していても、手入力する際に数字を見間違えたり、数える時点で間違えることもあります。

最も懸念したいことは、棚卸差異に気づかないまま帳簿上の数字を見て商品の仕入れや納品書作成をしてしまう場合です。

どのような棚卸差異でも誰かが気付かないと対策を練ることもできないため、日頃から意識してダブルチェック、複数人でチェックすることを心掛けることが大切です。

管理ルールが徹底されていない

単純作業が続く業務に明確な管理ルールは必須です。

何か問題、トラブルが起きた場合にどう対処するかなどのルール決めをしておかなければ、在庫数がズレ倉庫内の在庫状況を正しく把握できません。

入荷時の検収ミス

入荷時の検収ミスも原因の一つです。

伝票や指示書に沿ったピッキングが行われないまま出荷商品や出荷数を間違えてしまうことがあります。

入荷時にこのようなミスが起きてしまうと、帳簿在庫と実在庫が一致しないまま次の作業に進んでしまい在庫の動態が複雑になってしまいます。

伝票の入力ミス

作業の人的ミスでも話しましたが、入力ミスは棚卸差異の原因において最も注意したい部分です。

発注書、指示書に基づいて正しい入出庫検品が行われているのに、システム登録の時点で打ち間違えてしまうのが伝票入力のミスです。

数、重さなどを間違えると帳簿在庫が狂ってしまいます。

また、商品管理を伝票で行っている場合、伝票の処理洩れや処理ミスも棚卸差異の原因となります。

データで管理していても、処理が正しく反映されているかまでしっかり確認しなければミスに繋がります。

棚卸差異によって生じる影響範囲

機会損失の発生

販売機会の損失は会社にとって大きな痛手となります。

帳簿上の数字と実際の在庫量が合っていなければ、商品の提供がスムーズに行えず顧客満足度の低下につながります。

これは他社の商品を購入しようと乗り換える理由になってしまい、会社自体の信頼度を失うことにもなります。

キャッシュフローの悪化

在庫数が合わないと想定以上に色々なコストを割くことになり、経営状態を悪化させます。

帳簿在庫が足りずにそれを補おうと発注を行ってしまうと過剰在庫になります。これはキャッシュフローを悪化させる原因です。

販売している商品がトレンドを追った物であれば、過剰在庫はいずれ不良在庫になってしまうケースも考えられます。

売れる見込みがない、長い間売れない商品は管理コストを考えても結果的に廃棄しなければいけなくなり、それにもまたコストがかかってきます。

作業効率の低下

棚卸差異が生じた場合、その原因を調べて改善策を考えることが最優先事項です。

一つずつ差異が発生した理由を確認しなければいけないため、抱えている在庫数が多いほど時間がかかります。

適切に在庫管理が行われていれば、その作業に人件費を割く必要もなく業務が後回しになることもありません。

棚卸差異は作業の効率を低下させる大きな理由になってしまいます。

棚卸差異を改善する方法

マニュアル、在庫管理を徹底する

まず取り組むべき改善方法はマニュアル、在庫管理を徹底することです。ルールをマニュアル化し、会社全体で共有することで人的なミスを減らしましょう。

トラブルが起きた場合に、マニュアル化されたルールがあればどの社員でも対応することができます。
 
在庫管理ルールをマニュアル化する上で大切なのは、作業フローを見直すことです。

各工程を一つずつ確かめ無駄な作業内容がないか、効率化できる部分がないかを確認しましょう。

ロケーション管理を徹底する

ロケーション管理とは倉庫内の商品保管場所を簡単に把握できるようにする管理方法のことをいいます。

ロケーション管理を徹底することでどこに何の商品があるのか瞬時に判断でき、確認を忘れることもなくなります。

定期棚卸を実施する

定期的に在庫を把握し、商品数を確認することで適正在庫を維持できます。

バーコード、タブレット機器などの活用

今の時代どの業務においても最新のIT技術を取り入れることが主流になってきました。

IT技術を駆使することで業務の効率化、人的ミスを削減でき、短縮できた作業時間で新たな事業に注力することができます。

在庫管理において最も導入しやすい機器の一つがバーコードです。バーコードと商品マスタを紐づけてシステム管理することにより、ハンディーターミナルでバーコードをスキャンするだけで正確に在庫管理を行えます。

また、ピッキングする際には商品をスキャンするだけでシステム上の在庫と実在庫の紐づけが行われるため、入力ミスによる棚卸差異の発生リスクを減らせます。

タブレット機器も手軽に取り入れられる技術です。

現場で在庫の確認を行い、事務所に戻ってデータなどを反映すると、そのわずかな時間にタイムラグが生じて棚卸差異に繋がることがあります。

タブレットがあることで現場作業が完了次第在庫を反映でき、タイムラグを最小限に抑えられます。

物流アウトソーシングを導入する

EC事業の拡大により在庫管理がうまくいっていない場合、物流全体を見直す必要があります。

そこで活用したいのが物流アウトソーシングの導入です。

商品の入荷から出荷までの一連の業務をすべてプロが行ってくれるので、棚卸差異の改善を図れます。

アウトソーシングすることで、自社で行っていた発送業務などの作業時間、人件費を削減できるため、新規事業の立案をはじめとするコア業務に集中できます。

まとめ

今回は

  • 棚卸差異とは
  • 棚卸差異の種類
  • 棚卸差異が生じる原因
  • 棚卸差異によって生じる影響範囲
  • 棚卸差異を改善する方法

についてご紹介しました。

棚卸差異は財務管理に影響を与えるだけでなく、なぜ起きたのか原因を調べるために時間が多くかかってしまい、無駄な作業が増えてコストもかかってしまいます。

生産性の低下だけでなく販売機会を失うきっかけにもなってしまうため、自社で管理を徹底することが難しい場合は、物流のアウトソーシングを導入することがおすすめです。

醍醐倉庫では入荷、検品、在庫管理をはじめ、ピッキング、梱包、出荷、返品処理等の一連の業務を代行し、企業の売上アップや集客等の業務に集中できる環境のお手伝いを行っております。

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醍醐倉庫ブログ編集部
醍醐倉庫株式会社のEC通販・ネットショップ事業者向け物流アウトソーシングサービスのメンバーによって構成される編集部。20年以上EC物流をサポートしてきた実績と豊富な知識をもとに、EC・ネットショップ運営に役立つさまざまな情報をお届けします。

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