
なるべく汚れないように、なるべく傷が付かないように、大事に使ってきた革財布でもファスナーのトラブルって意外と多いんです。
本記事では、
「ファスナーが動かなくなってしまった」
「ファスナーが硬く引っかかるようになってしまった」
「閉まったと思ったら反対側から開いてきちゃった」
「務歯頭部が取れちゃった」
「ファスナーテープが破けた」
など、そんなファスナーのトラブルに見舞われた場合の対処法を紹介します。
目次
壊れたファスナーはすぐ直そう
お気に入りの洋服や、毎日使っているお財布・かばんのファスナー。
いざ壊れてしまうと、本当にがっかりしますよね。
多くの方が修理を専門のお店に依頼されているようです。
スカートやズボンの小さなファスナーでも1,000円程度、お財布やかばんになると数千円から1万円ほどかかる場合もあるようです。修理代が気になって、使うのを諦めてクローゼットの奥にしまい込んでしまった…
なんて経験、ありませんか?
でも、諦めるのはまだ早いです!実は、ちょっとした不具合ならご自身で簡単に直せることもあるんです。「最近、ファスナーが固くて開け閉めしにくいな…」「閉めてもなんだか緩い気がする…」と感じたら、ぜひご自身でメンテナンスを試してみませんか?
驚くほど簡単な一手間で、大切にしているアイテムが再び快適に使えるようになるかもしれません。
※作業の前に: 無理に力を加えると、かえって状態を悪化させてしまうことがあります。
少し試してみて「これは難しいな」と感じたら、無理せず専門の修理店に相談しましょう。
ファスナーの構造
ファスナーは主に4つのパーツで出来ている総称の事を言います。
ここでは1つずつパーツの役割などを紹介していきます。
用語 | 詳細 |
---|---|
エレメント | ファスナーテープに等間隔でくっついている一連の小さな金属。務歯(むし)とも言う。単体だと務歯頭部と言う。エレメントが欠けていたり錆びていると開閉困難に。 |
スライダー | エレメントをかみ合わせたり(開く)、離したりする(閉じる)役割を持つ。用途に合わせて様々なタイプがある。ファスナーのかみ合わせのトラブルはエレメントにあると思われがちだが、スライダーの劣化にあることが多いとも言われている。 |
ファスナーテープ | エレメントがくっついているテープ。ポリエステルテープが主体となるが綿テープや合繊テープがある。革本体から外れてしまったり、テープの真ん中に穴が開いてしまうトラブルあり。 |
引き手 | スライダーを動かすときに必要な取っ手部分。金属や革などデザインによって変わる。革の引き手がちぎれてしまうトラブルあり。 |
パーツ一つずつに大切な役割がある事がわかりますね。
4つのパーツのうち一つでも調子が悪くなると最悪商品が使えなくなる場合もあります。
そうなった時の対処方法は後ほどお伝えします。
ファスナーの種類
普段何気なく使っているファスナー。
実は、その素材や構造によっていくつかの種類に分けられることをご存じでしたか?
世界的なトップブランドである「YKK」の製品をはじめ、私たちの身の回りにあるファスナーには、それぞれに「個性」と「得意なこと」があります。
洋服やバッグを修理・交換する時はもちろん、新しくアイテムを購入する際にも、この違いを知っておくと、作り手の意図が分かり、より最適なものを選ぶことができます。
ここでは、代表的な3種類のファスナーの特徴を詳しく見ていきましょう。
金属ファスナー
古くからある最もスタンダードなタイプのファスナー。務歯(むし)と呼ばれる歯の部分が、アルミニウム合金や丹銅(銅と亜鉛の合金)などの金属で作られています。
- 特徴・メリット:
- 圧倒的な強度: 何よりも頑丈で壊れにくいのが最大の特長です。
- 高級感と重厚感: 金属ならではの光沢と重量感が、アイテム全体に風格と高級感を与えます。
- 経年変化(エイジング): 使い込むほどに金属の色がくすんだり、酸化したりして、ヴィンテージのような味わい深い表情に変化していきます。
- デメリット:
- 他の種類に比べて重さがあります。
- 柔軟性に欠けるため、カーブした部分への取り付けには向きません。
- 主な用途:
- ジーンズ、レザージャケット: アイテムの持つタフなイメージと、金属の重厚感がマッチします。
- 革財布、ビジネスバッグ: 耐久性と、見た目の高級感が求められるアイテムに最適です。
ビスロンファスナー
「ビスロン®」はYKKの登録商標で、ポリアセタールなどの樹脂を射出して作られたファスナーです。務歯がプラスチックでできており、金属ファスナーに比べて軽量です。
- 特徴・メリット:
- 軽量: 金属の約1/3程度の重さで、軽快な使い心地です。
- 豊富なカラーバリエーション: 務歯(エレメント)とテープ(布地)の色を自由に組み合わせられるため、デザイン性が非常に高いです。
- スムーズな開閉: 摩擦が少なく、滑らかな操作性が特徴です。
- デメリット:
- 金属ほどの強度はありません。
- 柔軟性はコイルファスナーに劣ります。
- 主な用途:
- ジャンパー、パーカー: 軽さが求められるアウターに最適です。
- カジュアルなバッグ、ポーチ: デザインに合わせてポップな色を選べます。
- 子供服: 軽くて開け閉めしやすいため、子供でも扱いやすいのが利点です。
コイルファスナー
ナイロンやポリエステルの樹脂を、コイル状(バネのような形)に成形して作られたファスナーです。務歯が直接テープに縫い付けられており、閉じた時に務歯が見えにくいのが特徴です。
- 特徴・メリット:
- 非常に軽量で薄い: 3種類の中で最も軽く、柔らかい素材です。
- 抜群の柔軟性: コイル状の構造が、カーブした部分や柔らかい生地にスムーズにフィットします。
- コストパフォーマンス: 比較的安価に製造できます。
- デメリット:
- 強度は他の2種類に比べて劣るため、強い力がかかる部分には向きません。
- 主な用途:
- スカートやワンピースの脇: 身体のラインに沿う、柔軟性が求められる部分に使われます。
- バッグの内ポケット、小物入れ: かさばらず、スリムに仕上げたい箇所に最適です。
- クッションカバー、寝具: 肌に触れても違和感のない、柔らかさが活かされます。
ファスナーが硬く引っかかるときの対処法
基本的には販売店やリペア業者に持ち込んでいただくのがベストですが、ファスナーが硬くなってしまったり、滑りが悪いといったトラブルなら自分で直すことも可能です。
具体的な対処法は、ロウとファスナー用スプレーや潤滑剤を使う方法に分けられます。
対処法1 ロウを擦り付ける
使用するのは、どこにでもあるロウソクです。
ロウソクならコンビニにも取り扱いがあるのでいざという時簡単に手に入りまね。
まず、ファスナーを閉めた状態でロウソクをエレメントに擦り付けます。
ロウソクは強く擦ってしまうとぽろぽろと削れてカスが出てしまうので、優しく撫でるように塗ってください。また、使い古した歯ブラシがあれば、歯ブラシにろうそくを擦り付けそのままエレメントを磨くのもおすすめです。
次にファスナーを何度か開閉して満遍なく広げます。この時、まだ引っ掛かりがあったり、硬い場合はファスナーを開けて裏からもろうそくを擦り付けてください。
対処法2 ファスナー用スプレーをかける
ファスナーに沿って専用のスプレーを吹きかけます。この時、近づけすぎたり、一点に集中して吹きかけないように気を付けてください。
また、革部分にスプレーがかかるとシミになりかねないので、当て布や養生テープ、マスキングテープなどを使って保護してください。
対処法3 潤滑剤を使う
ファスナーは動くけど、何だか動きが鈍くなってきたと感じたら、まずは潤滑剤を使用する事をおすすめします。
ファスナーがスムーズに開閉できなくなる理由の一つとして油切れがある為です。
近所で入手が難しい場合は楽天市場などで専用のものを購入する事が出来ます。
ファスナーと言えば「YKK」というくらい認知度の高い企業ですよね。
そのYKKからファスナー専用のスプレーが発売されているんです。
臭いも気にならずベタつくこともないので高評価です。
こちらは錆止めで有名なKURE5-56。スプレータイプが一般的ですが、こちらはエレメントにピンポイントで塗れるペンタイプ。
軽く塗るだけで潤滑・防錆・清浄・防湿効果を発揮。当て布が必要ないのでお手軽です。無香性なので臭いも気になりません。
対処法4 自宅にあるものでファスナーの滑りが良くなるかも!?
裏技として自宅にあるものでファスナーの滑りが良くなる場合もあります。
ただしくれぐれも自己責任でお願いします。
アイテム | やり方 |
---|---|
リップクリーム | エレメント全体に綿棒で薄くリップクリームを塗ってください。塗りすぎるとリップクリームがダマになるので注意です。 |
ワセリン | こちらもリップクリームど同様に薄く塗ってください。 |
乾いた固形石鹸 | 綿棒で薄く石鹸を塗ってください。必ず乾いた石鹸で行ってください。 |
ファスナーの滑りが悪くなる原因として、油分不足の場合があります。
上記のようなもので油分を補給してあげると、滑りが解消される場合があります。
ここまでご覧頂き、自分では手に負えない!
と思った方はプロのリペア業者に依頼する事を検討ください。
ファスナーが破損した場合の対処方法
ファスナーが破損すると財布の開け閉めが出来なくなり非常に困ります。
そうなった時に備えて対処方法を事前に把握しておきましょう。
自分で修理できる場合と、できない場合がありますので、できない場合はリペア業者に出すか買い替えを検討ください。
対処法1 自分で交換する
自分で交換できる場合は比較的安易に交換できる場合が多いです。
破損した場合に、交換におすすめのアイテムを、ファスナーのパーツ毎に紹介していきますので交換する際は是非参考にしてみてください。
スライダーが破損した場合
スライダーが破損してしまった場合は、比較的自分で修理できる場合が多いです。
パーツを通販サイトで購入して自分で取り替える事が出来ます。
ブランドの純正ファスナーは入手する事が困難な場合がありますが
純正にこだわらないのであれば、安価に入手する事が出来ます。
ファスナーの種類などは、YKKさんのページに情報が公開されているので、購入する前に確認することをおすすめします。
YKK
https://lyncs.ykkfastening.com/shop/default.aspx
引き手が取れた場合
引き手とはスライダー部分についているパーツの事です。
ここが破損してしまうと引っ張る場所が無くなってしまい財布の開閉が出来なくなってしまいます。
引き手の交換も自分で出来る場合が多いので是非チャレンジしてみてください。
取り替え方
準備として、ペンチが必要になります。
100円ショップなどで手に入る安価なものでかまいません。
- ペンチで引き手の丸かん(金具)部分を前後に広げます。
- 開いた状態でスライダーの隙間に合わせます。
- 丸カンを閉じて完成です。
意外と難しいと思っていた方も多いかもしれませんが、簡単3ステップで出来ます。
近所にパーツが売っていない場合でも下記のような商品がネット通販で安価に購入する事が出来ます。
エレメントが破損した場合
エレメントはスライダーのレールパーツの為、破損した場合が基本的にファスナー毎交換になります。
また、他の部位と違って、縫い付けが必要となり、プロのリペア業者に依頼する事をおすすめします。
無理やり取ろうとすると、生地自体を傷めたり、他の部分の破損となる可能性があります。
交換用のおすすめファスナーランキングTOP3
ファスナーは意外と自分で直せる場合があることがわかりましたね。
ここでは自分で修理する時に役に立つ交換用ファスナーを紹介します。
ファスナーの状態にもよりますが、自分で交換できると修理に出すよりも安価なのでチャレンジする価値はありそうですね。
1位 ズライドオン ZlideOn 5B-2 ブラック 角プルタブ 990円
メディアでも放送された実績のあるスウェーデン生まれの便利グッズです。
簡単に交換する事ができ、幅広い素材、サイズに対応しています。
旅行鞄で有名なサムソナイトの5000回開閉耐久試験もクリアしており安心して使用できます。
2位 本革ファスナーの引き手ブラック3個セット 748円
1.6mmの太めの丸カンを採用しており、強度があります。
引き手の色はブラックですが、金具の色が4色から選べますのでお使いのものにあわせて選べるのもポイントです。
3位 ファスナー 簡単取り付け 750円
工具不調でワンタッチで取り付けるができる、ファスナーの引き手セットです。
フック式なので、スライダーにひっかけるだけなので、簡単に引き手をつける事が出来ます。
対処法2 プロに依頼する
自分では交換が難しい。そんな時はプロの業者に依頼する事をおすすめします。
ファスナーの交換は、これまで紹介した状態で自分で簡単に出来る場合もありますし、状況によっては困難な事もあります。
自分で修理出来なさそうと思った時はプロの業者に依頼する事を検討してみましょう。
無理やり修理すると生地を傷めたり、商品自体が破損してしまう場合もありますので注意しましょう。
リペア業者によって修理費は変わってきますが、大体の費用や納期は以下のようになっています。
修理箇所 | 修理費用(目安) | 修理期間(目安) |
---|---|---|
ラウンドファスナー | 5,000~15,000円 | 3〜5週間 |
内側ファスナー | 3,500~14,000円 | 3〜5週間 |
スライダー交換 | 2,000~5,000円 | 2週間~ |
一律料金のところや長さごとに料金が変わるところ、+1,000円などの追加料金が発生するなど、リペア業者によって様々です。
ファスナー交換の場合、一度財布を解体して付け替えることになるので、納期は長く見ておくと安心です。
意外と費用も納期もかかってしまうと思った人もいるかもしれませんが、一口にファスナー交換と言っても、エレメントやファスナーテープの素材や色など様々なものがあります。
修理にそこまで費用がかけられないし、納期も長くてこんなに待てないよ!という人は買い換えをおすすめします。
人間の心理上、購入金額の半分以上の修理費がかかると心が揺らぐとも言われているんです。大事に使ってきた革財布を手放すのは寂しいですが、心機一転新しい革財布を使い始めるのも良いかもしれませんね。
ファスナーが引っかかる原因
そもそもファスナーの調子が悪くなる原因はどういった場合に起こるのでしょうか。
ファスナーの調子が悪くなる原因は主に2つあります。
スライダーが原因
スライダーが生地を巻き込んでしまい、動かなくなる場合があります。
生地が緩んくると起こりやすいです。
生地を巻き込んでしまった場合の対処方法はスライダーに挟まった生地を横向きに、片側ずつゆっくり引っ張りましょう。
無理に引っ張ると生地が破れてしまう場合がありますので注意してください。
エレメントが原因
スライダーは動くのに、エレメントが閉まらない場合はエレメントがかみ合っていないという事になります。
スライダーが経年劣化で歪んてしまった場合や、エレメント自体が破損している場合は自分で修理するには難しい場合があるので、プロの業者に修理を依頼する事をおすすめします。
引っかかりを予防するには
ファスナーの引っかかりを予防するには、エレメントに生地が絡まないように繊維のほつれなどがある場合は、事前にカットしておきましょう。
また、エレメントと周辺の生地が出来るだけ、平らな状態が好ましいです。
アイロンがけが出来る商品の場合は、エレメント周辺の生地をアイロンがけして平にしておくと引っかかりの予防になります。
サビが原因
保管状態が悪いと、ファスナーにサビが発生し、開閉しずらくなります。
この場合は綿棒や爪楊枝を使用して除去できる場合があります。
まとめ
難易度が高いと思われがちなファスナー交換はパーツによっては簡単に交換できる事がわかりましたね。
また、交換に便利なアイテムも楽天市場などで販売されているので便利です。
エレメントの交換など、自分でやるにはハードルが感じた場合はプロのリペア業者に依頼する事をおすすめします。
革財布は日ごろのお手入れが大切です。
下記にお手入れ方法をまとめていますのでご覧ください。