革財布を美しく経年変化(エイジング)させる方法

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革財布を美しく経年変化(エイジング)させる方法

革財布の醍醐味と言えば「経年変化(エイジング)」です。

革財布を持つからにはおもいっきり経年変化を楽しみたいと思っている人も多いのではないでしょうか。

持つ人によって様々な表情に変化するのでまさに自分だけの革財布になります。

うまく経年変化をさせるにはちょっと難しいんじゃないかと手が出しづらい人もいるかもしれません。

本記事は経年変化(エイジング)とは何なのか、どのようにお手入れをしたら美しく経年変化して長く使っていけるのかをご紹介します。

エイジングを楽しみたい方向けの革財布はこちらをご覧ください

経年変化(エイジング)とは

まず経年変化とは何か確認していきましょう。
経年変化とは使い込むうちに革の表情が変化していくことを言います。

革の色が深みのある色味に変わる

手の油やお手入れ時のレザークリーム、日焼けなどによって最初の色よりも味のある濃い色合いになっていきます。

艶が増し光沢が出てくる

革を加工するときにたっぷりのオイルを含ませたコードバンやミネルバ、ブッテーロなどの「オイルレザー」や革を鞣したままの外からの刺激に影響されやすい「ヌメ革」は使っていくうちに艶や光沢がより鮮明に表れ高級感が出てきます。

また毎日使う革財布ですから、手の脂が革に移行し艶や光沢が増していきます。

手触りの変化

初めて革財布を手にすると、革の種類によっては硬いなという印象を持つ人も多いかと思います。

革は繊維が複雑に絡み合ってできているので使っていない状態だと繊維がぎっしりと詰まり密状態で硬いのです。

そこで革を使い込んでいくと繊維がほぐれて柔らかくなり、手にスッと吸い付くような手触りになっていきます。

カード入れにカードを入れた時にパンパンで出し入れがしにくかったけど、数日たったら馴染んできたという経験はまさに経年変化が表れている証拠です。

形の変化

柔らかくしなやかになった革はズボンの後ろポケットに入れてそのまま椅子に腰かけると型崩れすることがあります。

きれいな状態で経年変化を楽しみたい場合はバックの中に入れてなるべく圧がかからないように持ち運ぶことをおすすめします。

また小銭入れが付いている革財布でも極力使わずに、コインケースを別で持ち歩くと更に新品同様のきれいな状態を保てますよ。

こうして革財布を初めて手にした時と使って何年もたったものと比べると、同じものとは思えないくらい変化を感じることができます。

使う人によって革財布の扱い方が変わるので経年変化も違って革の面白さを感じます。

美しく経年変化(エイジング)する革の選び方

革は同じ素材を使っていても鞣し方法や染色方法によって「経年変化しやすい」ものと「経年変化しにくい」ものに分かれます。

タンニン鞣しのものを選ぶ

皮から革へと変化させるには「鞣し」加工が必須。鞣しを行わないと腐ったり乾燥してしまいます。鞣し方法は「タンニン鞣し」と「クロム鞣し」が代表的です。

タンニン鞣し

タンニン鞣しは植物のタンニン(渋)を原料にしている伝統的な手法で「植物タンニン鞣し」とも言われます。

この植物の渋が空気に触れて酸化したり紫外線によって日焼けすることで変化し、徐々に色が濃くなっていきます。

色の変化は使用頻度やメンテナンスの度合いによって変わるので、ここでも個人差が出て面白いですよ。

また染色された革よりも原色の革の方が変化のスピードが早く感じられ奥深さも出てきます。

タンニン鞣しは革自体にオイルがたっぷり含まれているので、使っていくうちに内側から油分が染み出て艶や光沢が現れます。

クロム鞣し

伝統的な手法で仕上がりに時間のかかるタンニン鞣しに対して、効率的に鞣すために考えられたのが「クロム鞣し」です。

クロム化合物を鞣し剤に使用し、柔らかさと伸縮性、耐水性に優れているのが特徴です。

クロム鞣しにはタンニンが含まれていないので色の変化が期待できません。

染料仕上げのものを選ぶ

革を鞣した後に行う染色加工は主に「染料仕上げ」と「顔料仕上げ」の2つです。

タンニン鞣しのあと染色せずそのままの革を「素仕上げ」と言い、ヌメ革は素仕上げにあたります。

では「染料仕上げ」と「顔料仕上げ」はどのような違いがありどのように経年変化するのか確認していきましょう。

染料仕上げ

染料仕上げは革の質感をそのまま活かし革の繊維を染め上げる方法です。

傷やしわ、血筋などが、ほとんど見られない上質な革が使われることが多いです。

使い込むほどに色艶が深まり、経年変化が楽しめます。

顔料仕上げ

顔料仕上げは革の表面に塗料を使って色付けする方法です。

素材の傷やしわを隠すメリットがある反面、革の風合いを隠してしまうことで、経年変化を楽しめないというデメリットがあります。

ただ染料仕上げに比べて明るい色をつけることもできますし、何年経っても新品のようにきれいな状態を保てることや傷が付きにくい、色落ちしにくいというメリットをもっています。

染料仕上げ 顔料仕上げ
経年変化 楽しめる 期待できない
革の風合い 活かす 隠す
革質 上質 幅広い
耐キズ 劣っている 優れている
耐水性 劣っている 優れている
色移り する ほぼしない

上記のように経年変化をしやすい革は「タンニン鞣し」と「染料仕上げ」となります。

経年変化よりも汚れや傷が目立ちにくさ、買った時と同じ色味を維持させたいという人はクロム鞣しや顔料仕上げのものを選んでくださいね。

綺麗に経年変化(エイジング)をさせるコツ

どのように使えば綺麗に経年変化できるのでしょうか。ヌメ革とコードバン、タンニン鞣し+染料仕上げの3種類の素材ごとに見ていきます。

ヌメ革

タンニン鞣しを施した後染色や塗装などの加工をしていない、革の中で1番経年変化が楽しめる人気の高い革です。

ヌメ革を上手に経年変化させると綺麗な飴色に変化しますよ。

汚れや傷が付きやすいというデメリットもありますが、革の味や経年変化の一部としてうまく革を育てていきましょう。

Step1.日光浴させる

革財布全体を均一に経年変化させる為にあえて日光浴(日焼け)させます。

ヌメ革は他の革に比べると耐水性が低いので、そのままだと水分に触れると繊維の中まで染み込みシミになってしまいます。

そこで日光浴させる事によって革の中に含まれたオイルが浮き出て薄い保護膜を作り、水が奥まで染み込むのを防いでくれるんです。

また財布のよく触る場所とそうでない場所の色ムラなども起きず色艶の変化を楽しめます。

ポイント1:日陰で日光浴させる日光浴と言っても直接日の当たる場所に置くのはNGです。乾燥してひび割れや変形の原因になってしまいますよ。

ポイント2:自分好みの色になるまで日光浴させる

日差しの条件(強い夏とそうでない冬、日差しの降り注ぐ部屋と日差しが届きにくい部屋など)で日光浴の時間は変わりますが、長くて約1ヵ月程度、日光浴させます。

1ヵ月経たなくても自分好みの色になればやめてしまっても問題ありません。なるべく長く日光浴させた方が革の強度が良くなるのでおすすめです。裏や内側も日光浴させるのをお忘れなく。

Step2.しっかりとレザークリームを塗る

人が日焼けをして肌が赤くなりヒリヒリした時は、肌を冷やししっかりと保湿をして、炎症した肌を優しくいたわってあげますよね。

革も人肌と同じように日焼けをするとダメージを受けるので、レザークリームを薄く塗って水分補給と保湿をしてあげてください。

水分補給と保湿がしっかりとできると色艶が良くなり美しい光沢も出てきますよ。

ただし、たっぷりとレザークリームを塗ってしまうとシミになって逆効果になってしまうので注意してくださいね。

おすすめのレザークリーム:
コロニル シュプリームクリームデラックスhttps://item.rakuten.co.jp/collonil/1909_supreme_creme_deluxe/シダーウッドオイルやラノリンなどの天然のオイルを使った、革に優しい高級栄養クリームです。皮革内部にしっかりと栄養を届けてくれるので、保湿力の高さとしっとりとした艶ができます。少量でも伸びが良く初心者の人でも扱いやすいと評判です。

コードバン

コードバンは農耕馬のお尻からしか採れないことや、鞣す期間が約1年と長期にわたることからとても貴重な素材として扱われています。

他の革に比べて耐久性に優れていて、牛革の2~3倍とも言われているんですよ。

「革のダイヤモンド」とも言われるコードバンはその名の通り美しい艶が魅力的。きめ細かい革質と透明感、気品のある光沢、高級感を漂わす艶は存在感があり大人の男性の憧れでもあります。

コードバンの中でも価格が幅広くあります。これは仕上げと染色方法の違いによるものです。

アメリカのホーウィン社の製品が有名な「オイルシェルコードバン」や素材の表情はそのままに透明感と光沢が美しい「水染めコードバン」、深い傷が付きにくく耐水性に優れた「ウレタン塗りコードバン」などがあります。

そんなコードバンを綺麗に経年変化させるにはズバリ「乾拭きをすること」です。

約1年もの間タンニン鞣しを施されているので革の中にはたくさんのオイルが含まれています。

さらに財布を使うときに手の脂も相まって頻繁な保湿は必要なくなります。もし乾燥しているなと感じたらコードバン専用のレザークリームを塗ってあげると良いでしょう。

おすすめのコードバン専用レザークリーム:
サフィール ノワール コードバン専用クリームhttps://item.rakuten.co.jp/primeavenue/8741053/このレザークリームはニートフットオイルが含まれているので、革の奥深くまで保革・栄養効果が期待されます。

またビーズワックスがコードバン特有の光沢を与えてくれますよ。仕上げにクロスで磨くと更に光沢が増すと高評価です。

その他のタンニン鞣し+染料仕上げ

タンニン鞣し+染料仕上げの革はたくさんありますが、基本的にオイルをしっかり含んだ革なので頻繁に保湿してあげたり、ヌメ革のように日焼けさせるといったことはしません。

でも目に見えないほこりや手垢などが付いているので、使った後は簡単にクロスで拭きあげると良いでしょう。

1~2か月ほどのペースでオイルなどを使ってお手入れすると、かさつき知らずのキレイな革財布を維持することができるでしょう。

3種共通して言えるのは「とにかく毎日使ってあげる事」です。

手の脂やふとした時に付いてしまった水分、思わぬことで付いた傷なども毎日使うからこそできる革の歴史です。

そこから革が育ち味になり綺麗な経年変化になっていきます。特に手の脂は天然のオイルになるので革が潤い乾燥知らずの美しい艶にも繋がるんですよ。

皮の鞣しについての詳細はこちらをご覧ください
<参考>革のなめしとは?なめしを知ることで革製品への理解が深まります

上手く経年変化(エイジング)しない原因と対処法

綺麗に経年変化させるぞと意気込んでみたものの思ったように経年変化できないとならないように、注意点もしっかり確認しておきましょう。

財布に圧力をかける行動

二つ折り財布やコンパクト財布などはズボンの後ろのポケットにスッポリ収まるので気軽に入れがちですが、そのまま椅子に腰かけてしまうのはおすすめできません。

またパンパンに詰まったバッグの中に押し込めるのも避けたいところです。

財布に圧がかかってしまうと型崩れの原因になります。綺麗な経年変化を期待するのであれば、財布がゆったりと過ごせる余裕のあるバッグなどに入れて持ち歩きましょう。

高温多湿となる場所での保管

例えば急に降ってきた雨に濡れてしまった時、乾ききらないうちにそのまま保管してしまうとカビの原因になります。濡れてしまったらしっかりと乾燥させますが、早く乾かしたいからといってドライヤーを使うのは言語道断。革が変形してしまうので必ず自然乾燥でじっくりと乾かしてくださいね。乾いたら風通しの良い場所で保管しましょう。また直射日光に当ててしまうと革が乾燥しひび割れの原因になるので、窓際に財布を置いたのを忘れて放置してしまった!なんて事がないように注意してくださいね。

レザークリームの塗りすぎ

愛情たっぷりにお手入れをしてもレザークリームはたっぷり塗らないでください。薄く塗らないとシミになってしまいます。

お顔のスキンケアでも化粧水などをつけ過ぎて、逆にベタついてしまい、気づいたらニキビができたなんて経験がある人も多いはず。

革財布も同じで塗りすぎるとレザークリームによるシミができてしまうので、革の特性を知ったうえでお手入れしてあげてくださいね。

経年変化(エイジング)を楽しめるブランド

WHITE HOUSE COX(ホワイトハウスコックス)

1875年創業の老舗ブランドWHITE HOUSE COXは、創業当初からハンドメイドにこだわり今も各工程の専門の職人が1つ1つ手作業で作成しています。

強く耐久性のあるイングリッシュブライドルレザーが代表的な革として知られていて、自然の草木を使った鞣し剤で約10週間もの間じっくりと鞣しています。

丁寧に鞣された革は経年変化をしっかりと楽しむことができ革好きにはたまらないブランドとして有名です。

IL.BISONTE(イルビゾンテ)

IL.BISONTEは経年変化を大切にしているブランドで、硬めの革から柔らかい革まで様々な質感の革財布を取り扱っています。

中には使ってすぐに変化が出てくるものもあるんですよ。

「100%自然の力で作られたレザー」を使って製造することにこだわりを持っているので、革本来の表情を楽しみ上手に革を育てて経年変化を体感してくださいね。

https://www.ilbisonte.jp/

Dakota black label(ダコタブラックレーベル)

MADE IN JAPANの丁寧な仕立てと上質な素材なのに、この価格で赤字にならないのと思うくらい良心的な価格で購入できるのが特徴です。

シンプルなデザインながらも収納力もあり、使い勝手も良いと文句のつけどころがないと言っても過言ではありません。

初めての革財布で綺麗に経年変化させられるか不安と言った初心者の人にもおすすめのブランドです。

https://item.rakuten.co.jp/arista/0623205//

GORBE(ゴルベ)

GORBEの革はイタリアのサンタ・クローチェ地方で50年以上にわたり伝統技法を守り続け、化学薬品を一切使わない地球に優しい革のみをプロデュースしているガビアーノ社のものを使っています。

門外不出と言われた革を日本のブランドで初めて使用許可を得て使用したことは自慢ですし、自信をもって良いものと胸を張れる革財布に仕立てています。

素材はもちろんデザインや機能性にもこだわって作っているので、上手に経年変化させることができたら他のブランドに戻れなくなりそうですね。

https://item.rakuten.co.jp/daigo-kuradashi/c/0000000158/

COCOMEISTER(ココマイスター)

COCOMEISTERは日本のブランドですが、シンプルなのにおしゃれで高級感があり海外のブランドを思わせるデザインが特徴です。

財布に使われている素材はコードバンやブライドルレザーの他に、オークという樹木を使って鞣したもの、マットな風合いとシボが特徴的なマルティーニなど全部で21種類。

そのほとんどが経年変化を楽しめるのでどのシリーズにするか迷っちゃいますね。

https://cocomeister.jp/store/g/g45014601/

革財布を美しく経年変化(エイジング)させる方法まとめ

革を使い始めて日常生活のふとした時に傷ついたり、突然の雨に濡れてシミができてしまったり、日焼けをしてしまったりと様々なトラブルに見舞われることもあるでしょう。

でも、それもその革財布にとっての歴史となり味となります。

綺麗な経年変化をさせるには自分の革財布がヌメ革なのかコードバンなのか、オイルレザーなのかを考えその特性に合ったお手入れをすることが第一です。

本記事を参考に上手に経年変化させていつまでも使っていたくなるような革財布になることを願います。

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