ペット用品市場では、ペットを家族の一員として捉える意識の高まりや健康志向を背景に、プレミアムフードやサプリメントなど高付加価値商品の需要が広がっています。
矢野経済研究所によると、2025年度の国内ペット関連総市場規模は、小売金額ベースで前年度比2.1%増の1兆9,504億円と見込まれています。
「2025年度のペット関連総市場規模は前年度比2.1%増の1兆9,504億円と拡大の見込」出典:株式会社矢野経済研究所「ペットビジネスに関する調査を実施(2026年)」
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販売チャネルにも変化が起きています。富士経済の調査では、2025年のペット関連商品の国内EC市場は3,612億円が見込まれ、大手ECモールが市場の8割弱を占めています。
「2025年の市場は3,612億円が見込まれる。」
「大手ECモールが全体の8割弱を占める。」出典:株式会社富士経済「ペット関連商品の国内EC市場を調査」
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こうした環境から、これまで卸売や実店舗への販売を中心としてきたペット用品メーカー・卸売企業にとっても、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、自社ECなどを利用したEC販売は、新しい販路の選択肢になっています。
ただし、ECは「ネットショップを作れば売れる」というものではありません。
既存の卸先・小売店との競合、販売価格、モールごとの特徴、広告・販促費、運営人員、在庫管理、物流、法律や商品表示など、メーカーや卸売企業だからこそ事前に検討しておきたいポイントがあります。
この記事では、ペット用品メーカー・卸売企業がECを新しい販路として検討する際に知っておきたい市場動向、業界の流通構造、販売チャネルの選び方、既存取引先との棲み分け、価格設定、物流、法規制、EC運営体制まで詳しく解説します。
目次
ペット用品市場とEC販売の現状
国内ペット関連市場は約1.95兆円

矢野経済研究所の調査では、2025年度の国内ペット関連総市場は1兆9,504億円が見込まれています。
市場拡大の背景には「ペットの家族化」があり、ペット1頭あたりにかける金額の増加や、健康志向に対応した高付加価値商品の投入などが市場を支えています。
一方で、「ペット市場全体が伸びているから、ECへ出せば何でも売れる」と考えるのは適切ではありません。
富士経済によるペット関連用品の調査では、2025年の国内市場は6,725億円となった一方、生活者の節約意識が高まり、ブランド力の乏しい商品や一部の日用品では販売が伸び悩む動きもみられています。その一方で、療法食やプレミアムフード、サプリメントなど健康につながる商品は伸びています。
出典:株式会社富士経済「ペット関連用品の国内市場を調査」
そのためメーカー・卸売企業がEC参入を検討する際は、市場全体の成長率だけではなく、自社商品について次のような点を確認することが重要です。
- ECで購入するメリットがあるか
- 価格以外の違いを伝えられるか
- リピート購入が期待できるか
- 送料を含めても利益を確保できるか
- 競合商品との差別化ができるか
- 既存の卸先・小売店と競合しないか
ペット用品EC市場は3,600億円を超える規模に
富士経済によると、2025年のペット関連商品の国内EC市場は3,612億円が見込まれています。2030年には4,388億円まで拡大すると予測されています。
出典:株式会社富士経済「ペット関連商品の国内EC市場を調査」
ペット用品には、ECで購入するメリットを感じやすい商品が少なくありません。
たとえば、大袋のペットフード、猫砂、ペットシーツなどは重量やサイズがあり、実店舗から持ち帰る負担があります。自宅まで配送されるECは、こうした商品の購入方法として消費者にとって利便性があります。
犬・猫ともインターネット通販が主要な購入チャネルになっている
一般社団法人ペットフード協会の「2025年 全国犬猫飼育実態調査」では、ペットフード・ペット用品の購入ルートとして、犬飼育者の40.6%が「インターネット通販」を挙げています。
猫飼育者でも36.8%となっており、ホームセンターやドラッグストア、スーパーなどの実店舗と並んで、ECが主要な購入チャネルの一つとなっていることが分かります。
| 2025年の購入ルート | 犬飼育者 | 猫飼育者 |
|---|---|---|
| ホームセンター・ディスカウントストア | 55.2% | 58.5% |
| インターネット通販 | 40.6% | 36.8% |
| ドラッグストア | 34.1% | 40.6% |
| スーパー | 29.1% | 40.1% |
| ペットショップ | 31.2% | 16.2% |
※複数回答。「ペットフード・ペット用品使用者」を対象とした調査。
出典:一般社団法人ペットフード協会「2025年 全国犬猫飼育実態調査」
ECモールだけでなくメーカー直販ECも拡大している
現在のペット用品ECでは、Amazonや楽天市場など大手ECモールの存在感が大きい一方、メーカーが自社ECを通じて消費者へ直接販売する動きも広がっています。
富士経済は、これまでオフライン販売を中心としていたペット関連商品メーカーが、ペットオーナーとの関係性強化などを目的に自社ECへ参入するケースがみられるとしています。
そのためメーカーがECへ参入するときは、「自社ECかECモールか」の二者択一ではなく、どの商品をどのチャネルで販売し、それぞれにどのような役割を持たせるかという販路設計が重要です。
ペット用品業界の流通構造とECの位置付け

メーカー・卸・小売をつなぐ流通構造がある
ペット用品の商流は企業や商品カテゴリーによって異なりますが、ペットフード・ペット用品ではメーカーと小売企業の間を卸売企業がつなぐ流通構造が存在します。
ペット用品総合商社のジャペルは、自社の役割について次のように説明しています。
「国内外のメーカー様と全国の販売店様、両者をつなぐ商社として」出典:ジャペル株式会社「ごあいさつ」
ジャペル株式会社の会社案内を見る
同社はペットフード・ペット用品の卸販売を中核事業とし、スーパー、ホームセンター、ドラッグストア、ペットショップ、トリマーサロンなど幅広い小売・サービス事業者へ商品を供給しています。
参考:ジャペル株式会社「事業内容紹介」
また、全国ペットフード・用品卸商協会には、ペット用品専門卸や流通企業が正会員として参加し、メーカーなども賛助会員として多数参加しています。
参考:一般社団法人 全国ペットフード・用品卸商協会「会員企業」
従来型の商流にEC直販が加わっている
こうした業界構造を単純化すると、従来型の商流の一つとして次のような流れがあります。
メーカー → 卸売企業 → 小売店・量販店など → 消費者
ただし、すべての商品がこの商流を通るわけではありません。メーカーと小売企業の直接取引、輸入商社を経由するケース、動物病院向け流通など、商品や企業によって商流は異なります。
そしてECの普及によって、これらに加えて次のようなルートが存在感を増しています。
メーカー → 自社EC・ECモール → 消費者
富士経済の調査でも、オフライン販売を中心としてきたペット関連商品メーカーによる自社EC参入が確認されています。
メーカーにとってECは単なる販売サイトではなく、既存の卸売・小売ルートとは別に、消費者と直接接点を持てるチャネルと考えることができます。
ペット用品は販売チャネルが多い
ペット用品の販売先はECだけではありません。
- ペットショップ
- ホームセンター
- ドラッグストア
- スーパー
- ディスカウントストア
- 動物病院
- Amazon・楽天市場などのECモール
- 小売企業のEC
- メーカー直販EC
など、多様なチャネルがあります。
そのためメーカーがECへ参入するときは、「ECでいくら売るか」だけを見るのではなく、既存チャネルとの役割分担まで含めて考える必要があります。
ペット用品メーカー・卸売企業がECへ参入するメリット
新しい販売チャネルを増やせる
もっとも分かりやすいメリットは販路の拡大です。
特定の卸先や実店舗だけに販売先が偏っている場合、ECを追加することで全国の消費者へ商品を販売する機会を持てます。
また、Amazonだけで販売している企業が楽天市場やYahoo!ショッピングへ展開するなど、すでにECを行っている企業が販売チャネルを追加する方法もあります。
実店舗では扱いにくい商品も掲載できる
実店舗では売場面積が限られるため、メーカーが多くの商品を持っていても、全SKUを小売店に置いてもらえるとは限りません。
ECでは物理的な陳列スペースに縛られにくいため、サイズ違い、カラーバリエーション、大容量商品、特定犬種・猫種向け商品、交換部品などを販売しやすくなります。
新商品のテスト販売に活用できる
ECは新商品の販売可能性を確認する場としても利用できます。
アクセス数、購入率、レビュー、問い合わせ、売れるバリエーション、リピート状況などを見ることで、消費者の反応を確認できます。
いきなり大きな投資をするのではなく、商品数と在庫量を絞ってECで販売し、結果を見てから販路を広げる方法もあります。
消費者の反応を把握しやすい
メーカーが卸売を中心としている場合、最終消費者からの反応を直接得られる機会が限られることがあります。
ECではレビューや問い合わせなどから、購入者が評価している点、購入前に不安に感じている点、実際の使用方法などを知ることができます。
ただし、取得・利用できる顧客情報は自社ECとECモールで異なります。モールで取得した顧客情報については、各モールの規約に従って取り扱う必要があります。
ペット用品メーカーがEC参入前に考えておきたい課題
EC専用の運営業務が発生する
ECでは商品を登録して終わりではありません。
- 商品登録
- 商品ページ制作・更新
- 価格管理
- 在庫管理
- 受注処理
- 問い合わせ対応
- 返品・キャンセル対応
- 販促・広告
- レビュー対応
- 売上分析
- 梱包・発送
などの業務が継続的に発生します。
営業担当者などが兼任する場合は、「出店できたが改善する時間がない」という状態にならないよう、販売開始後の運営体制まで決めておく必要があります。
既存の卸先・小売店と競合する可能性がある
メーカーのEC直販で特に注意したいのが、既存取引先とのチャネル競合です。
たとえば既存の小売店が5,000円前後で販売している商品を、メーカー自身がECで常時4,000円で販売すれば、小売店から見ると仕入先であるメーカー自身が競合になります。
EC単体の売上だけではなく、既存取引先との関係やブランド全体の価格体系を含めて考えることが重要です。
関連記事:メーカーのEC参入をさらに詳しく解説
メーカー・卸企業のEC参入では、既存販路との棲み分けや価格・商品・取引条件の設計が重要です。メーカーのEC参入ガイド|卸売りのEC化で販路を広げる方法と成功のポイント
ペット用品は商品によってECとの相性が異なる

「ペット用品」と一括りにしてECとの相性を判断することはできません。商品の単価、サイズ、重量、リピート性、規制、競合状況などによって販売しやすさは変わります。
ペットフード・おやつ
定期的に消費されるため、リピート購入を期待しやすいカテゴリーです。
一方で、賞味期限、ロット管理、重量、保管条件、表示、価格競争などへの対応が必要です。
大容量商品は配送メリットがある一方、送料にも注意
大袋のフードは購入者にとって自宅配送のメリットがありますが、事業者側では重量によって送料が高くなります。
「ECで購入されやすい」ことと「ECで利益を出しやすい」ことは別なので、配送費まで含めた利益計算が必要です。
ペットシーツ・猫砂などの消耗品
繰り返し購入されやすく、かさばる商品を自宅へ配送してもらえるメリットがあります。
一方、低単価商品や大型商品では物流費の比率が高くなるため、単品販売だけでなく複数個セットなども検討できます。
首輪・ハーネス・ペットウェア
色、サイズ、デザインなどが購入判断に影響します。
サイズ情報を商品ページで伝える
ECでは試着できないため、採寸方法、対応サイズ、使用犬・猫の体重、着用写真などを用意すると購入判断を助けられます。
色×サイズでSKU数が増えやすいため、在庫管理にも注意が必要です。
ケージ・キャットタワー・ペットベッド
比較的高単価の商品もありますが、大型化しやすいカテゴリーです。
EC販売前には商品そのもののサイズだけでなく、梱包後サイズ、送料、保管スペース、返品時の物流費まで確認しておきましょう。
ペット用おもちゃ
写真や動画で利用シーンを伝えやすい商品です。
一方で競合商品も多いため、「どのようなペットに向いているか」「どのように遊ぶ商品なのか」「他商品との違いは何か」まで説明できる商品ページが重要になります。
ペット家電
自動給餌器、給水器、ペットカメラなどは、機能やスペックを比較して購入されやすい商品です。
商品ページにはスペックだけでなく、初期設定、対応環境、メンテナンス方法、保証、消耗部品の購入方法など、購入後まで想定した情報を用意するとよいでしょう。
サプリメント・シャンプー・デンタル用品など
健康やケアに関係する商品では、ECの商品ページや広告で使用する表現に特に注意が必要です。
農林水産省は、ペットフード、シャンプーなどの動物用製品であっても、含有成分や効能効果に関する表示、形状などによっては、動物用医薬品等に該当するとしています。
「疾病を予防するといった表示等を行ったりすると、動物用医薬品等に該当」出典:農林水産省「動物用医薬品等に該当するか否かの考え方」
農林水産省の解説を見る
日本ペット用品工業会も、ペット用シャンプーやデンタル用品などの薬事表記に関するガイドラインを公開しています。
参考:一般社団法人日本ペット用品工業会「ペット用品の薬事に関する適切な表記のガイドライン」
自社商品はEC販売に向いている?
価格、粗利、物流、リピート性、規制、運営体制などからEC販売の適性を確認できます。商品別 EC販売適性診断を利用する
ペット用品を販売するECチャネルを比較
メーカーがECへ参入するときには、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのECモールと、自社ECという選択肢があります。
それぞれ特徴が異なるため、「一番有名なECを選ぶ」のではなく、自社商品やEC参入の目的から選ぶことが重要です。
楽天市場
楽天市場は、店舗単位で出店し、商品ページや店舗ページを作りながら販売するECモールです。
2026年9月時点では3つの主要な出店プランがあり、月額出店料は「がんばれ!プラン」25,000円、「スタンダードプラン」65,000円、「メガショッププラン」130,000円(いずれも税別)です。これとは別に初期登録費用、システム利用料、楽天ペイ利用料などが発生します。
出典:楽天市場「出店プランと費用」
※料金・プランは変更される可能性があるため、出店時は公式情報をご確認ください。
店舗やブランドの特徴を比較的詳しく伝えながら、モールの集客力も利用したい企業に向いています。
Amazon
Amazonでは商品単位で出品して販売します。
2026年9月時点では、大口出品サービスは月額4,900円(税抜)で、これとは別にカテゴリーごとの販売手数料が発生します。
FBAを利用すると、Amazonの物流拠点へ商品を納品し、保管や注文後の配送などを委託できます。
出典:Amazon「出品にかかる費用」
消耗品ではFBA定期おトク便も選択肢
Amazonでは対象商品について「FBA定期おトク便」が用意されています。
フードや消耗品など継続購入される商品では、販売方法を検討する際の選択肢になります。
参考:Amazon「FBA定期おトク便」
Yahoo!ショッピング
Yahoo!ショッピングは2026年9月に出店プランを刷新しています。
2026年9月時点では、初期費用0円、月額システム利用料10,000円(税抜)、売上ロイヤリティ2.5%となっています。このほか、決済サービス利用料、ストアポイント原資負担料、アフィリエイト関連費用などが発生します。
出典:Yahoo!ショッピング「ネットショップ開業ならヤフーショッピング」
※料金・制度は変更される可能性があるため、出店時は公式情報をご確認ください。
自社EC
Shopifyなどを利用し、自社独自のECサイトを構築する方法です。
ブランドの世界観や購入体験を設計しやすく、自社の運用環境を整えることで、顧客との継続的な関係を作りやすい点がメリットです。
一方、自社ECにはECモールそのものの集客力がないため、SEO、SNS、広告、既存顧客への案内など、自社で集客する仕組みが必要です。
楽天・Amazon・Yahoo!・自社ECはどれを選ぶ?
| 販路 | 特徴 | 向いているケース | 主な課題 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | 店舗・商品訴求とモール集客を組み合わせやすい | 商品の特徴やブランドを詳しく伝えたい | 固定費や店舗運営業務が発生する |
| Amazon | 商品単位で比較・購入されやすい | 型番商品、消耗品、目的買いされる商品 | 同一・類似商品の価格比較が起こりやすい |
| Yahoo!ショッピング | モール販売チャネルを追加できる | 複数モールへ販路を広げたい | 販促・店舗運営が必要 |
| 自社EC | ブランドや購入体験を設計しやすい | ブランド構築や顧客接点を重視 | 自社で集客する必要がある |
最初からすべてへ出店する必要はありません。
EC運営経験が少ない企業の場合は、商品とチャネルを絞ってテストし、販売結果を確認しながら拡大する方法もあります。
EC直販と既存の卸先・小売店をどう棲み分けるか
メーカーがECへ参入する際の重要なテーマが、既存取引先とのチャネル競合です。
メーカー自身が極端な安売りをしない
既存取引先と同じ商品をメーカー自身が大幅に安く販売すると、小売店にとって商品を仕入れて販売するメリットが低下する可能性があります。
一方で、「小売店にも同じ価格で販売してもらえばよい」という考え方にも注意が必要です。
公正取引委員会は、メーカー等が小売業者に販売価格を指示して守らせる再販売価格維持行為について、独占禁止法上、原則として違法になるとしています。
「再販売価格維持行為は、競争手段の重要な要素である価格を拘束するものであり、独占禁止法上、原則として違法」出典:公正取引委員会「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」の改正について
公正取引委員会の資料を見る
そのため、既存小売店へ値下げを禁止するのではなく、メーカー側のEC商品や販促方法を工夫して棲み分けることが重要です。
EC限定の商品やセットを作る
同じJANの商品を単純に値下げするのではなく、EC独自の商品構成を用意する方法があります。
- 複数個セット
- お試しセット
- ギフトセット
- 限定容量
- 限定カラー
- 関連商品とのセット
などです。
既存店舗の商品と単純な価格比較がされにくくなり、EC独自の購入理由も作りやすくなります。
販売チャネルごとに役割を決める

たとえば、実店舗は商品を手に取って確認できる場所、Amazonは定番品・消耗品の購入場所、楽天市場はセット商品やギフト商品の販売、自社ECはブランド情報や限定商品の販売、といったように役割を設定する考え方があります。
重要なのは、ECを既存チャネルから売上を奪う場所としてではなく、新しい顧客や購買機会を獲得する場所として設計することです。
売る倉庫の導入事例|卸先との関係に配慮しながらEC販売
卸先との関係から自社では値引き販売しにくかった企業が、販売方法を工夫しながらECで在庫削減につなげた事例があります。「1年で在庫を40%減に成功。卸先との関係懸念も解消」を見る
ペット用品をECで販売するときの価格設定
商品原価だけで利益を判断しない
ECの販売価格を決める際には、商品原価だけではなく、モール利用料、販売手数料、決済費用、ポイント・クーポン原資、広告費、送料、梱包資材費、出荷作業費、人件費、返品・キャンセル費用なども考える必要があります。
特に低単価商品では、送料や手数料が販売価格に占める割合が高くなりやすいため注意が必要です。
「売上」ではなく1注文あたりの利益を見る
EC参入後にありがちな失敗が、「売上は増えたが利益が残らない」という状態です。
売上高だけでなく、1注文あたりにどれだけ利益が残るかを確認します。
販売価格 - 商品原価 - EC関連費用 - 販促費 - 物流費 = ECで残る利益
セット販売で送料比率を下げられる場合もある
フードやペットシーツなどの消耗品では、単品では送料比率が高くても、複数個をまとめて販売することで1商品あたりの物流費負担を下げられる場合があります。
ただし、セット化によって販売価格も上がるため、競合価格や購入者が実際に必要とする数量を確認して設計しましょう。
ペット用品特有の在庫・物流上の課題

ペットフードは賞味期限とロット管理が重要
ペットフードには賞味期限があります。
ECの販売量を見誤って大量に在庫すると、販売前に賞味期限が近づく可能性があります。
入荷日だけでなく、賞味期限やロットを管理し、在庫回転を確認しながら販売することが重要です。
「重い」「大きい」商品では送料が利益を圧迫する
ペット用品には、大袋フード、猫砂、ペットシーツ、ケージ、キャットタワー、ベッドなど、重量や容積の大きい商品があります。
ECでは商品サイズだけではなく、実際に発送するときの梱包後サイズで物流費を確認する必要があります。
色・サイズ展開が多い商品はSKU管理が重要
ペットウェアや首輪、ハーネスなどは「サイズ×カラー」でSKU数が増えます。
ECと実在庫の情報がずれると受注後欠品につながるため、JANコードや商品管理コード、SKU単位で在庫管理できる体制を整えることが重要です。
物流委託できる商品かも事前に確認する
EC物流を外部へ委託する場合は、温度管理、大型商品、危険物など、倉庫側で取り扱える条件を事前に確認します。
「商品が売れるか」だけではなく、「継続的に保管・出荷できるか」まで含めてEC適性を判断しましょう。
ペット用品をネットショップで販売するまでの流れ

Step1 ECへ参入する目的を決める
売上拡大、新規顧客獲得、新商品のテスト、全国への販路拡大、既存在庫の販売、ブランド認知など、ECで達成したい目的を明確にします。
Step2 ECで販売する商品を選ぶ
最初から全商品を登録する必要はありません。
価格、粗利、サイズ、重量、リピート性、競合、在庫量、規制、商品の説明しやすさなどから、EC向きの商品を選びます。
どの商品からECを始めるべきか迷ったら
商品価格・粗利・物流・集客・在庫・規制・運営体制などからEC販売の適性を確認できます。商品別 EC販売適性診断を利用する
Step3 既存販路との棲み分けを決める
既存の卸先や小売店がある場合は、ECで販売する商品、価格の考え方、セット商品、販促方法などを整理します。
Step4 販売チャネルを決める
楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、自社ECなどから、商品とEC参入目的に合ったチャネルを選びます。
Step5 採算を計算する
商品原価だけでなく、EC手数料、広告費、ポイント、送料、梱包、物流、人件費などを含めて利益を計算します。
Step6 運営体制を決める
商品登録、在庫更新、受注、問い合わせ、販促、広告、出荷などについて、誰が担当するのかを決めます。
社内で対応できない業務については、EC運営代行や物流代行を利用する方法もあります。
Step7 小さく販売して検証する
販売開始後はアクセス数、購入率、客単価、広告費、利益、レビュー、返品率、リピート状況などを確認します。
最初から大規模な投資をするのではなく、商品数や在庫を絞って販売し、反応を確認しながら広げる方法も有効です。
導入事例|Amazon以外のECモールへ販路を拡大
Amazon FBAを利用していた卸売企業が、EC専任人員を増やさず楽天市場・Yahoo!ショッピングへ販路を広げた事例です。競合調査を行い、適正価格で商品を販売した事例を見る
ペットフードを販売する際に確認したい法律・表示
ペットフード安全法の対象は犬・猫用ペットフード
日本では「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」、いわゆるペットフード安全法が施行されています。
対象となるのは、犬・猫の栄養に供することを目的として使用されるペットフードです。
出典:農林水産省「ペットフードの安全関係(ペットフード安全法 事業者のみなさま向けページ)」
製造・輸入をする場合は事業開始前に届出が必要
犬・猫用ペットフードを製造または輸入する事業者は、法人・個人を問わず、事業開始前に届出が必要です。
ここで注意したいのは「営業許可を取得する」という制度ではなく、ペットフード安全法に基づく事業者の届出である点です。
「事業を開始する前に、農林水産大臣及び環境大臣に届け出ることが義務づけられています。」出典:農林水産省 関東農政局「ペットフードに関する情報」
届出について確認する
製造・輸入・卸売では帳簿の備付けが必要
ペットフードを製造・輸入・卸売販売する事業者は、ペットフードの名称や数量などを記録した帳簿を備え付ける必要があります。
消費者への直接販売のみを行う小売事業者については、同法上の帳簿備付け義務の対象から除かれています。
出典:農林水産省 近畿農政局「ペットフードの製造・輸入・販売に関するご案内」
ペットフードには5項目の表示が必要
ペットフード安全法では、次の5項目を日本語で表示することが義務付けられています。
- 名称
- 賞味期限
- 原材料名
- 原産国名
- 事業者名および住所
出典:農林水産省「ペットフード安全法 表示に関するQ&A」
また、ペット用品については、日本ペット用品工業会が原産国、原材料、使用方法、注意事項などに関する「ペット用品統一表示ガイドライン」を設けています。
参考:一般社団法人日本ペット用品工業会「ペット用品統一表示ガイドライン Ver.Ⅳ」
ペット用品の商品ページ・広告で注意したい薬機法と景品表示法
健康効果を安易に表現しない
ペット用サプリメントやケア用品の商品ページでは、健康に関する表現に注意が必要です。
農林水産省では、ペットフードやシャンプー等について、含有成分、効能効果に関する表示、形状などによって、動物用医薬品等に該当するとみなされる場合があるとしています。
出典:農林水産省「動物用医薬品等に該当するか否かの考え方」
シャンプーやデンタル用品にも表記ガイドラインがある
日本ペット用品工業会では、ペット用シャンプーやデンタル用品等について薬事に関する表記ガイドラインを公開しています。
「ペット用品だから自由に効果を表現できる」と考えず、商品カテゴリーと表現内容を確認してから商品ページを制作しましょう。
参考:一般社団法人日本ペット用品工業会
根拠のない「No.1」などにも注意
ECの商品ページでは商品を魅力的に見せる必要がありますが、「売上No.1」「満足度No.1」などの表示にも注意が必要です。
消費者庁は、No.1表示や高評価%表示について、合理的な根拠に基づかず事実と異なる場合には、景品表示法上問題になるとしています。
出典:消費者庁「表示に関するQ&A」Q27
※法令・ガイドラインの適用は商品や表示内容によって異なります。実際の商品を販売する際は最新の行政情報を確認し、必要に応じて行政機関や専門家等へご相談ください。
導入事例|商品ページの薬機法対応からEC販路を開拓
EC未参入だった製造業の企業が、商品ページの表現を確認しながら楽天市場・Yahoo!ショッピングへ販路を広げた事例です。「薬機法をクリアし楽天市場で販路開拓」の事例を見る
ペット用品をECで売るためのポイント
「誰のための商品なのか」を明確にする
「すべての犬・猫におすすめ」と幅広く訴求するよりも、「小型犬との移動に使いやすい」「シニア犬向け」「大型猫でも使いやすい」など、対象や利用シーンを具体的にした方が商品の特徴を伝えやすくなります。
商品写真だけでなく使用シーンを見せる
ウェア、ベッド、ケージ、おもちゃなどでは、商品の白背景写真だけではサイズ感や利用方法が伝わりにくい場合があります。
実際にペットが使用している写真、サイズ比較、動画などを加えることで、購入後のイメージを伝えやすくなります。
サイズ・仕様を分かりやすく伝える
「幅50cm」といった数値だけではなく、ペットとの比較、使用モデルの体重、採寸方法、利用できる環境などを説明すると購入判断を助けられます。
セット販売を検討する
フード、ペットシーツ、猫砂などではセット販売も検討できます。
複数商品をまとめることで客単価の向上や送料比率の低下につながる場合があります。
一方、購入数量が多くなることで注文のハードルが上がる場合もあるため、単品とセットを併売して反応を見る方法もあります。
リピート購入しやすい導線を作る
フードや消耗品は再購入が期待できます。
モールのフォロー機能、メルマガ、クーポンなど、利用できる機能の範囲で再購入のきっかけを作りましょう。
レビューを商品改善にも活用する
レビューは他の購入者の判断材料になるだけでなく、メーカーにとって商品改善のヒントになります。
サイズが分かりにくい、説明書が難しい、梱包が大きいといった意見があれば、商品そのものだけでなく商品ページや物流方法の改善にも活用できます。
EC運営にはどのような業務・人員が必要?
販売・マーケティング業務
商品企画、商品ページ制作、撮影、広告、SEO、SNS、メルマガ、キャンペーン、データ分析などがあります。
受注・バックオフィス業務
商品登録、価格更新、受注処理、在庫管理、問い合わせ、キャンセル、返品、売上管理などがあります。
物流業務
入庫、保管、在庫管理、ピッキング、梱包、発送、返品処理などがあります。
注文が少ない段階では既存社員の兼任で対応できても、商品数や受注数が増えるほど業務負担は大きくなります。
そのため、EC参入前には「ショップを作れるか」だけではなく、販売開始後に継続して運営できるかを確認する必要があります。
EC運営は内製と外注のどちらがいい?

内製が向いている企業
次のような企業では、自社運営が選択肢になります。
- EC担当者を配置できる
- ECノウハウを社内へ蓄積したい
- ブランド表現を細かく管理したい
- 将来的にECを大きな事業へ育てたい
- 広告・販促まで積極的に行いたい
外注が向いている企業
一方、次のような場合にはEC販売代行を利用する方法があります。
- EC専任担当者がいない
- 営業担当者がECを兼任している
- まず販売可能性を試したい
- 商品数が少ない
- 販売から物流までまとめて委託したい
- 固定的なEC運営人員を増やしたくない
内製と外注は人件費まで含めて比較する
自社運営だからといってEC運営コストが0円になるわけではありません。
社内スタッフが商品登録、問い合わせ、受注、販促、在庫管理などを行えば、その作業時間分の人件費が発生しています。
そのため、外注と内製を比較するときは、モール費用やシステム費だけでなく、社内人件費と物流費まで含めて比較することが重要です。
関連記事|メーカー・卸企業のEC参入を詳しく解説
既存商流との棲み分けから、商品・価格・運営体制までメーカーECの考え方を解説しています。メーカーのEC参入ガイドを見る
ペット用品メーカーがECを始めるなら小さくテストする方法もある
ECへ参入するからといって、最初からEC担当者を新規採用したり、すべての商品を登録したり、大規模な自社ECを構築したりする必要はありません。
まずEC向きの商品を絞る
粗利、送料、商品サイズ、リピート性、競合状況、在庫量などからECとの相性がよい商品を選びます。
販売チャネルを絞る
すべてのモールへ同時出店せず、自社商品と相性がよいチャネルから販売する方法があります。
少量在庫で販売する
販売実績のない段階で大量のEC専用在庫を用意するのではなく、既存在庫などを利用して需要を確認します。
売上だけでなく利益と運営負荷を検証する
販売後は、売上だけでなく、1注文あたりの利益、作業時間、問い合わせ件数、返品率、在庫回転などを確認します。
メーカー・卸売企業の場合は、「ペットEC市場が伸びているから参入する」のではなく、自社商品がECで利益を残せるかを検証してから投資を広げる方がリスクを抑えられます。
楽天市場・Yahoo!ショッピングへの販路拡大なら販売代行という方法もある
ECモールへ出店すると、商品登録、商品ページ制作、受注処理、販促、問い合わせ対応、在庫管理、梱包、発送などの運営業務が継続的に発生します。
そのため、次のような企業では販売代行を利用する方法もあります。
- 新しい販路を増やしたいが、EC専任担当者を置くほどではない
- Amazonでは販売しているが、楽天市場やYahoo!ショッピングを自社で運営する余裕がない
- まず数商品でEC販売をテストしたい
- EC運営と物流をまとめて外部へ委託したい
「売る倉庫」では商品をお預かりし、楽天市場・Yahoo!ショッピングでの商品登録、販売促進、受注処理、在庫管理、梱包・発送までまとめて対応しています。
実際にBtoBからBtoCへ販路を広げた事例
BtoBを中心に商品を販売していた卸売企業が、EC運営と物流を外部化し、楽天市場・Yahoo!ショッピングでBtoC販売を開始した事例があります。BtoB中心の企業がEC販売を始めた事例を見る
ペット用品をECで販売したい企業様へ
楽天市場・Yahoo!ショッピングへの販路拡大から、商品登録、受注対応、在庫管理、発送までまとめて対応します。
まとめ|ペット用品のEC参入では「どこで売るか」だけでなく販路全体を設計する
ペット関連商品のEC市場は拡大しており、ECはメーカー・卸売企業にとって重要な販売チャネルの一つになっています。
一方、ECへ参入する際には市場規模だけではなく、商品ごとのEC適性、既存卸先との競合、販売価格、モール費用、広告費、送料、在庫、物流、法規制、運営人員などを総合的に確認する必要があります。
特に、すでに卸売や実店舗への販売ルートを持つメーカーでは、ECだけを独立して考えるのではなく、既存チャネルとECをどのように共存させるかが重要です。
自社商品がECに向いているか分からない場合は、まず商品単位で価格、利益、物流、リピート性、規制、運営体制などを確認してみましょう。
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EC担当者を新たに配置せず、楽天市場・Yahoo!ショッピングで販売可能性を試したい場合は、販売代行を利用する方法もあります。
商品を預けてEC販路を増やす「売る倉庫」
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