目次
ネットショップに必要な届け出とは
個人事業主の場合は開業届けを提出するのがおすすめ
個人で始める場合は管轄の税務署に開業届けを提出する事をおすすめします。
開業した場合に提出の義務はありませんが、提出すると様々なメリットがあります。
開業届けの正式名称は個人事業の開業・廃業等届出書といいます。
開業してから一か月以内に管轄の税務署に提出すようにしましょう。
法人の場合は開業届けは不要
法人の場合は税務署に開業届けを提出する必要はありません。
取り扱いジャンルによっては別途届け出が必要ですので後述します。
開業届けを出すメリット
青色申告で特別控除が出来る
青色申告とは確定申告の種類で他には白色申告があります。
青色申告は最大で65万円の特別控除ができ、節税になりますが白色控除にはこの控除がありません。
申告方式による控除額の違い
方式 | 特別控除額 | 帳簿 | 決算書 |
白色 | なし | 簡易簿記 | 収支内訳書 |
青色 | 10万円 | 簡易簿記 | 損益計算書 |
55万円 | 複式簿記 | 損益計算書、貸借対照表 | |
65万円 | 複式簿記、e-Taxによる申請 | 損益計算書、貸借対照表 |
このように青色申告の方が、メリットがありますので確定申告時には青色申告出来るように開業届けを提出しておきましょう。
青色申告には青色申告承認申請書が必要
青色申告の承認を受けるために必要な書類です。
開業日から2ヶ月以内に提出(1月1日~15日の間の場合は3月15日まで)する書類です。
国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
開業届けと同時に提出しても問題ないので、同時提出の方が手間がないのでおすすめです。
小規模企業共済に加入できる
小規模企業共済は、個人事業主が加入できる共済で、毎月掛け金を支払う事で廃業時に共済金を受け取る事が出来ます。
加入するには開業届けの提出が必要です。
証明書になる
サラリーマンだと会社に頼めば就労証明書を発行してもらえますが、個人事業主の場合は、開業届けが証明書になります。
保育園、金融機関から融資を受ける際にも必要になります。
ショップ名の銀行口座を開設できる
開業届けを提出すると、提出した屋号で金融機関に口座を開設する事が出来ます。
事業で使用する資金と個人の資金をわけて管理する事が可能です。
助成金の申請に必要
各種助成金や補助金を申請する際に、開業届けの写しが求められるケースがあります。
折角受けられるはずの助成金も、開業届けがない為に受け取れないなんて事にならないように開業届けは速やかに提出するようにしましょう。
必要経費を計上出来る
青色申告は例えば配偶者の人件費を範囲内で経費計上する事が出来ます。
また、自宅を事務所として使用する場合、家事按分(かじあんぶん)という算出方法で、事業部分の割合に応じて
経費として計上する事が可能です。
損失や赤字の繰り越しができる
青色申告の場合、赤字の年に確定申告すれば、最長3年間赤字を繰り越す事が出来ます。
赤字の損失を来年以降黒字化した際に相殺出来るので節税対策になります。
ネットショップの開業届けを提出する方法
税務署で提出する場合
管轄の窓口に行き、直接提出可能です。
税務署に開業届けの用紙がおいてありますので、本人確認書を添えて窓口に提出してくください。
ちなみに、管轄の窓口とは納税する場所を管轄している場所です。
例えば自宅で開業する場合は自宅の最寄の税務署、事務所の所在地を登録する場合は事務所の所在地を管轄している税務署に提出してください。
郵送で提出する場合
郵送の場合も直接税務署に提出する場合と同様に用紙に記載して郵送します。
ホームページからもダウンロード可能です
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
ただし、本人控えを送り返してもらう必要があるので返信用の封筒を同梱して郵送しましょう。
電子申請する場合
電子申請の場合はe-Taxというシステムを使用します。
事前にソフトのインストールが必要ですので、申請の前にインストールしておきましょう。
利用にはマイナンバーカードが必要ですのでこちらも取得しておきましょう。
個人事業主が利用できる助成金・補助金の参考例
ネットショップの開業時には何かと費用がかかります。
そこで重要なので助成金です。
個人事業主でも申請可能な助成金を紹介します。
IT導入補助金制度
個人事業主でもIT導入補助金制度を受けられる可能性があります。
ネットショップの機能として接客ツールや、チャット機能など、ホームページ以外のITツールに対して補助されます。
補助額は最大で350万円となります。
自治体の補助金
自治体によっては独自の補助金を設けている場合があります。
制度の有無は自治体によって異なるので管轄する役所に問い合わせてみましょう。
ネットショップで商品を販売する際に必要な許可
個人事業主でも、法人でも取り扱い商品やジャンルによっては事前の許可が必要な場合があります。
無許可のまま販売すると最悪閉店になる可能性があるので、事前に必ず許可が必要かどうか確認しましょう。
商材毎に必要な主な許可一覧
商材 | 許可や資格 | 申請場所 |
酒類 | 通信販売酒類小売業免許 | 管轄の税務署 |
中古品 | 古物商免許 | 管轄の警察署 |
医薬品 | 薬剤師資格や登録販売者資格など | 管轄の保健所 |
化粧品 | 化粧品製造販売許可など | 管轄の保健所 |
食料品 | 食品衛生法に基づく営業許可、食品衛生責任者など | 管轄の保健所 |
輸入品 | 商材によって様々 | 商材による |
酒類を販売する際に必要な許可
1%以上のアルコールの入った酒類をインターネットで販売する際には通信販売酒類小売業免許が必要になります。
ただし、これは既製品を仕入れて販売する際に必要な許可で、酒類自体を製造したい場合は酒類製造免許が必要になります。
また、酒屋などの店舗で販売する際は、酒類小売免許が必要です。
つまり、酒屋がインターネットで酒類の販売を行う場合は、酒類小売免許と通信販売酒類小売業免許の2つが必要になりますので注意が必要です。
中古品を販売する際に必要な許可
販売目的の為に仕入れた中古品は古物商免許が必要です。
中古品を仕入れる自店で古物商免許が必要ですので注意しましょう。
許可を取らずに中古品を仕入れる事は古物営業法違反で最悪懲役3年または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
医薬品を販売する際に必要な許可
医薬品をネット販売する場合は、薬剤師資格、医薬品販売許可、登録販売者資格、特定販売の届け出などが必要です。
ネットで販売できるのは薬局で処方箋なしで購入出来るような一般医薬品のみとなります。
医薬品の販売は細かいルールが多いので必ず事前に保健所などで確認しておきましょう。
化粧品を販売する際に必要な許可
化粧品を販売するには、化粧品製造販売許可が必要になります。
自社で製造した化粧品の販売、輸入した化粧品の販売、他社に委託する際に必要です。
また、化粧品自体を製造する、化粧品のラベルを変更したり、包装するには別途化粧品製造許可が必要になります。
食料品を販売する際に必要な許可
ネットショップで食品を販売する場合は、食品衛生責任者、食品衛生管理者の資格が必要です。管轄の食品衛生協会の講習を受講します。
調理師の免許を持っている場合は受講しなくても大丈夫です。
次は管轄の保健所で営業許可を申請してください。
既に飲食店を経営している場合でも別途必要となります。
輸入品を販売する際に必要な許可
輸入品は衛生面の観点などから、様々な規制がかけられています。
以下のようなものは許可が必要です。
- 食品、飲料
- 動植物
- 食品が触れるもの、食器やカトラリーなど
- ベビー用品
- 酒類
- 毛皮、革製品 など
関税や輸入する為の手続きも必要なので輸入するものは事前に税関に問い合わせして確認しておきましょう。
税関ホームページ
https://www.customs.go.jp/question2.htm
まとめ
ネットショップの開業に必要な届け出がわかりましたね。
個人事業主の方は開業届けを忘れずに提出しましょう。
また、商品によっては許可が必要になりますので、忘れずに申請しましょう。