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お酒の市場規模について
経済産業省の報告によると2020年の食品、飲料、酒類の合計の市場規模は2兆5199億円となっており、EC化率は3.7%程となっています。
他のジャンルと比べてEC化率が低い印象ですが、手軽にコンビニやスーパーで購入できるといった事も要因の一つです。
しかし、こだわりのものや、産地でしか手に入らないものなど、嗜好品系のものは需要があると予想されます。
こだわりのお酒をネットで販売してみたい方はEC化率の低い今、参入できる大きなチャンスだと言えます。
ネットショップでお酒を販売する為の流れ
Step1 販売する商品を決める
最初にどの商品をネットショップで販売するのかを決めましょう。
飲食店がネットで販売する場合、普段出しているメニューを冷凍化して販売するのもいいですが、タレやソース、調味料など普段使用しているものを販売するのもおすすめです。
Step2 通信販売酒類小売業免許を取得する
ネットショップでお酒を販売するには通信販売酒類小売業免許が必要になります。
申請は管轄の税務署で行います。
インターネットやカタログで2都道府県以上販売する為に必要な許可です。
Step3 他社のリサーチを行う
必要な許可を取得できたら、まずは他社や競合店がどういうコンセプトでどういう商品を販売しているか確認してみましょう。
- 販売価格
- 内容量
- ターゲット
この3点は必ず確認し、価格で勝てそうなら価格勝負、内容量で勝負できるなら内容量、一人暮らしの方なのか、核家族向けなのか、高級志向の方向けなのか、ターゲットへの訴求を考えましょう。
大切なのは、お客様がわざわざあなたのお店で購入する理由です。
それが価格なのか、ボリュームなのか、品質なのか、その他のこだわりなのかは事業者により異なりますが、その理由をしっかり打ち出していきましょう。
Step4 商品の製造、仕入れを行う
ここまでで特に問題なければ商品の製造や仕入れを行います。
あまり早いタイミングで仕入れると賞味期限の問題や保管スペースの問題が出てくるので諸々決まったタイミングで発注を行いましょう。
Step5 ネットショップを構築する
ネットショップの構築方法は主に2つのやり方があります。
- 制作会社などの外注会社に依頼する
- 自社で開設する
この2つがありますので、自社で構築できるならコスト削減になるので自社で開設
難しそうなら外注に依頼してください。
どちらでも問題ないのですが、ネットショップは集客力が大切になりますので事前に広告の予算なども確保できるといいです。
Step6 商品の梱包方法や発送方法を検討する
お酒は瓶に入ったものも多いので運送途中で破損する可能性もあります。
その為、緩衝材なども必要なので用意しておきましょう。
併せて同梱物であるチラシなどの印刷物のデザインや掲載する商品なども選定し、実際の出荷時には同梱出来るように進めておくことが好ましいです。
Step7 ネットショップで仮注文を行い問題ないか確認する
作成したネットショップで金額が間違えていないか、商品の情報が正しいかなどはスタッフが必ず確認してください。
販売価格の桁数が違った、違う画像を登録していた、という事はネットショップ初心者によくある事です。
最後に実際に注文をしてみて、送り状の発行テストまで行ってください。
Step8 ネットショップを受注可能な状態にする
ここまできたらネットショップの商品を購入可能な状態にし、店舗をオープンさせます。
オープンさせる事はゴールではなく、スタートなので日々売れるようにネットショップを改善していきましょう。
ネットショップでお酒の販売を成功させる為のコツ
ネットショップサービスは定期購入が使用できるものを使う
お酒は消費するものなので、一度購入してくれた人が商品を気にいってくれるとリピートしてくれる可能性があります。
ネットショップサービスの機能は定期購入が使用できるものを選ぶようにしましょう。
定期購入におすすめのカートシステムを紹介します。
リピートPLUS
リピートplusは定期通販に特化したカートシステムです。
転換率を向上させる為のフォーム一体型LPや年間234時間削減の受注処理の自動化など事業者に嬉しい機能が盛りだくさんです。
月商規模が1000万円程の場合は月額費用49,800円で利用できるスタンダードプランがおすすめです。
楽楽リピート
定期にも単品にも対応しており定期の場合は10日~120日と幅広い周期を設定する事が出来ます。
受注面では購入内容や顧客属性に応じて、お手紙のテンプレートを設定できます。
同梱物はネットショップの販促としては非常に有効なので嬉しい機能ですね。
楽天市場
楽天市場は大手モールなので集客力に定評があります。
単品通販は勿論定期通販も利用する事が出来ます。
楽天市場のクーポン配布やポイントアッププログラムなどお得に購入できる仕組みがあります。
低価格で販売できるものや企画性の強いものが売れる傾向にあるようなのでそのような商品をお持ちの場合はおすすめです
写真は飲みたいと思わせるクオリティの高いのものを使用する
食品同様に飲みたくなる、欲しくなる、クオリティーの高い写真を掲載しましょう。
お酒を撮影する時のポイント
- 質感がわかるように寄って撮る
- カメラを水平気味にして奥行を出す
- 湯気や水滴などのしずる感を出す
- 一緒に楽しめるおつまみなども撮影する
意外と盲点なのが、お腹いっぱいな時とお腹が空いている時だと個人的にはお腹が空いている時の方がいい写真が撮れます。
撮影時には自分が飲みたくなるか?食べたくなるか?とう視点も大切にしてください。
入口商品をつくる
入口商品とは初めて商品を購入するお客様や、自社の看板商品の事です。
こういう商品がある事で初めて買い物されるお客様に商品を知ってもらう機会にもなり、認知向上へつながります。
例えば初回限定のお得なセット、クーポン割り、お1人様一回限りのお試しセットなどがあります。
取り扱い商品の種類を増やす
商品数が多いと、商品それぞれに商品名があるので検索した時に有利になります。
また、自店に訪問されたお客様がついで買いをしてくれる可能性もありますので、無理のない範囲で取り扱い商品は増やすようにしましょう。
お酒にあう料理を掲載する
お酒は単体で飲まれる方もいると思いますが、そのお酒にあった料理や料理のレシピがあると、好きな料理からお酒を探す事が出来るようにもなります。
ランディングページで商品の魅力をアピールする
ランディングページとは商品に特化したページの事です。
今回の場合は縦長で商品の魅力を訴求している商品ページとお考えください。
食品の場合ランディングページ作成のポイントがいくつかあります。
- ターゲットを設定する
- ストーリー性を出す
- 根拠と信頼感を持たせる
- ベネフィット(購入後のメリット)を伝える
最低でもこの3つを意識して作成するようにしましょう。
自社で制作が難しい場合は食品に特化したランディングページ制作会社に依頼を検討してください。
オールマイティに制作している企業より食品に特化している企業をおすすめします。
顧客対応のオペレーションは事前に決めておく
ネットショップのお客様の対応はとにかくスピードが命です。
弊社では営業時間内なら平均で5分から10分以内には返信していています。
問い合わせには、商品の直接的な問い合わせと商品とは直接関係のない問い合わせがあります。
商品の直接的な問い合わせ例
- 賞味期限、色味、味、ギフト対応の有無
- 在庫や再入荷の予定
- 出荷予定日 など
商品とは直接関係のない問い合わせ例
- いつまでに購入すれば指定した日に届くのか
- しっかり入金されているかなどの入金の確認 など
いずれにしてもお客様が知りたがっている問い合わせに対してスムーズに対応できるように社内で事前に情報を整理して商品の事や配送の事は把握しておくようにしましょう。
SNSやブログで情報発信を行う
繰り返しになりますが、SNSは集客が命です。
各種SNSでの情報発信は自社を知ってもらういい機会です。
積極的に活用していきましょう。
SNS毎に特徴がありますので使い分けましょう。
Twitter:懸賞などのキャンペーンがおすすめ
Instagram:料理や画像で訴求できる投稿がおすすめ
YOUTUBE:動画なので商品の製造工程やレシピの実演などがおすすめ
おすすめの情報発信の例
- 商品のアレンジのレシピ
- フォロワー限定のキャンペーン
- 商品の開発秘話
- 商品の製造風景
- 新商品の情報
リピート施策を行う
一度購入頂いたお客様はリピーターになってくれる可能性がありますので販促活動を行いましょう。
例えば同梱物で今のおすすめ商品を案内する、次回使える割引クーポンを発行する、レビューを書いたらプレゼント企画を行うなど様々な施策がありますので予算を組んで実行していきましょう。
関連商品も販売する
商品と一緒に購入すると喜ばれる商品も考えて販売しましょう。
単価アップにもなります。
一例ですが、ダンブラー、マドラー、おつまみなどです。
レビュー獲得を積極的に行う
レビューは直接商品を手にとって見る事の出来ないネットショップにとって、信頼感を与えてくれます。
レビューを獲得する為には、いい商品、お客様に喜んでもらえる商品作りを行う事は勿論の事、レビュー施策も併せて行っていきましょう。
具体的にはレビューを書いたら次回使えるクーポンの発行や、別送でグラス、コースターなどの小物のプレゼントは喜ばれます。
名入れなどの付加価値をつける
お酒はギフト需要もあります。
お酒のパッケージに名入れなどを出来ると特別感があり、贈り物として喜ばれます。
自社で難しい場合は対応している物流会社などに依頼しましょう。
お酒の販売において知っておくべき法令
通信販売酒類小売業免許
こちらの免許はネットショップでお酒を販売するのに必須の免許です。
取得する為にはいくつかステップがあります。
Step1 蔵元を探す
国産の種類を販売するには、申請に蔵元からの合意や証明書が必要になります。
年間移出量の証明書などの書類が必要になります。
Step2 管轄の税務署で申請する
意外ですがお酒の申請は税務署で行います。
管轄の税務署で必要書類を記載し、蔵元から証明書などと一緒に提出します。
免許の取得までは約2か月ほどかかりますので余裕をもって申請しましょう。
申請に必要な書類は以下のようなものがあります。
- 酒類販売業免許の免許要件誓約書
- 申請者の履歴書
- 定款の写し
- 契約書等の写し(申請書次葉3付属書
- 類)
- 地方税の納税証明書
- 最終事業年度以前3事業年度の財務諸表
- 土地及び建物の登記事項証明書
- その他参考となるべき書類
- 通信販売酒類小売業免許申請書
- チェック表
このようにたくさんの書類が必要ですので一種類ずつ漏れがないように用意してください。
詳細は税務署が発行している通信販売小売業免許申請の手引きをご覧ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/menkyo/tebiki/8285.pdf
Step3 問題なければ免許が付与される
申請に問題なければ約2か月で免許が交付されます。
免許の付与には3万円の登録免許税が必要です。
酒税法
酒税法とはお酒の分類、製造免許などを定めた法律の事です。
アルコール度数が1%以上のお酒の事を酒類と呼び、酒税がかかります。
未成年者飲酒禁止法
未成年者飲酒禁止法は20歳未満の飲酒を禁止する法律の事です。
20歳未満の場合は販売店はお酒を売る事が出来ません。
ネットショップの場合は20歳未満かどうかの確認や、会員制のサイトだと年齢もわかると思いますので20歳未満の人には販売しないようにしましょう。
具体的な確認方法としては購入時に生年月日を入れてもらう、サイトのわかりやすい位置に未成年には販売しない旨の表記を行うようにしましょう。
景品表示法
景品表示法は商品を過大に表現したり、消費者に誤解を招く事を防ぐ法律です。
景品の定義は2つあります。
イベントのノベルティなどの総付け景品
商品や申込者全員に配布する景品や特典です。
取引金額 | 景品類の最高額 |
1,000円未満 | 200円 |
1,000円以上 | 取引価額の20% |
例えば販売する商品が1,000円未満であれば200円のノベルティしか配れません。
1社提供の一般懸賞
品やサービスを使用する事を条件に1社だけに提供する懸賞です。
取引金額 | 景品類の最高額 | 景品の総額 | |
5,000円未満 | 取引価額の20倍 | 商品売上予定総額の2% | |
5,000円以上 | 10万円 | 商品売上予定総額の2% |
使用するサービスや商品の金額が1,000円の場合景品の上限は20,000円になります。
1,000円の商品を100個販売する予定だと売り上げ予想は10万円なので景品の総額の上限は2,000円になります。
ネットショップでお酒の販売を行う際の注意点
未成年には販売しない
上述しましたが、お酒は未成年に販売する事は禁止されています。
ネットショップのトップページ、販売ページ、決済ページなどで注意喚起を行い、誕生日などを入力してもらう事を推奨します。
酒税法上の記帳義務がある
販売者は販売した商品を帳簿に記載しなければなりません。
仕入れに関する情報では仕入れ数量、仕入れ価格、仕入れ日、仕入れ先の名称
販売に関する情報では販売数量、販売価格、販売年月日、販売先の名称
上記を記載5年間保存する必要があります。
ネットショップ以外では販売しない
ネットショップで酒類を販売するには通信販売酒類小売業免許が必要という事はお分かり頂けたかと思います。
しかし、この免許はネットショップで販売する為の免許なので在庫している商品を店頭販売する事は禁止ですので注意しましょう。
酒類販売管理者が必要
免許を取得したらすぐに、酒類販売管理者を専任して、2週間以内に届け出を行ってください。
怠ると10万円以下の罰則があります。
事業者側は、組合が実施する種類販売管理者研修を受講するように努めましょう。
酒類販売管理者取得方法は以下のようになります。
Step1 酒類の販売業務に携わる人の中から管理者を選ぶ
Step2 専任から2週間以内に酒類販売管理者選任届出書を管轄の税務署に提出する
DLはこちら(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hambai/annai/3011_1.htm
Step3 専任から3か月以内に酒類販売管理研修を受講する
温度管理が必要なものもある
商品によっては繊細な温度管理が必須の商品があり、15~20度ぐらいの定温管理が必要な商品があります。
温度、湿気、紫外線など様々な要因でお酒の味が変わってしまうものもありますので、販売者は温度管理にも注意しましょう。
酒類販売で参考になるサイト
KURAND
会員サイトとなっており、希少な特別醸造酒を毎月お届けするサービスを提供しています。
毎月限定酒が届くとワクワクしますね。
エリアからも探す事が出来き、多種多様な品揃えなのでお気に入りの1本が見つかるかもしれません。
ポストに届く「日本酒定期便」
毎月、3酒蔵の日本酒がポストに届きます。
飲み切りサイズの100mlタイプのものが届きますので色々な日本酒をお楽しみ頂けます。
まとめ
この記事ではネットショップでお酒を販売する際の手順や成功する為のポイントを紹介しました。
お酒は意外と申請種類の項目がさくさんある事がわかりましたね。
運営していく中で未成年には販売しない、帳簿に仕入れ、販売についての情報を記載するなど、他のジャンルにはない独自の決まりもあります。
これらを守った上でネットショップを運営していくようにしましょう。