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EC物流代行とは
ネットショップで発生する物流業務全般の業務を代わりに行ってくれる業者の事です。
ネットショップで商品が販売されるとダウンロード販売などを除き、出荷作業が発生します。
繁忙期になると多いと1日で数百件、数千件の出荷作業に追われる事になります。
そうすると、出荷作業で1日終わってしまうという事もよくあります。
- 出荷作業が忙しくて他の事が出来ない
- 商品を保管するスペースがない
- 閑散期に人員が過剰になる
- 誤出荷が多い
これらの悩みを抱えている場合は、発送代行などや物流全般をお任せできるEC物流代行企業へ外注する事をおすすめします。
EC物流代行の業務内容
物流と言ってもたくさんやる事があります。
ここでは一般的なネットショップの物流代行の業務内容を解説します。
商品の入庫
商品の入庫は荷受けした商品が正しく数量通り到着しているか確認した後
所定の位置に格納する事です。
自社で対応する場合、商品の入庫が増えると、入庫作業に時間がかかってしまい、その他の作業時間を圧迫します。
商品の出庫
商品の出荷、発送業務にかかわる作業の事です。
商品のピッキング、梱包、送り状の発行、宅配会社への引き渡しネットショップの物流作業で最も時間のかかる部分です。
流通加工
ラッピング、封入、タグ付け、シール貼りなど商品の付帯作業の事です。
特にネットショップではギフト需要もあり、ラッピング作業などの需要が増えてきています。
EC物流代行業者の料金の相場
料金の項目 | 費用の相場 |
保管料(固定費) | 関東だと月額4,000円~10,000円 |
システム利用料(固定費) | 月額10,000円~20,000円 |
入庫料(変動費) | 1ピース10円~30円 |
検品料(変動費) | 1ピース10円~30円 |
出庫料(変動費) | 1ピース10円~30円 |
梱包料(変動費) | 1ピース100円~300円 |
配送料(変動費) | 1個口400円~1,500円 |
主な料金は、保管料金、システム利用料、入庫料、出荷料などがあります。
業者によっては、梱包料や出庫料を合算して料金提示してくる場合もありますが、荷姿や取り扱うボリュームや頻度によって料金は左右されます。
あくまで一例ですが、参考までに紹介します。
保管料
倉庫に保管する際のスペース利用料金です。
1坪、1パレットなど単位はそれぞれですが、関東エリアだと月額4,000円~10,000円前後かと思います。
さらに、冷蔵、冷凍、定温などの温度管理が必要な場合は、割高になります。
地方だと保管料は安くなる傾向がありますが、保管料の安さだけで決めてしまうと急なトラブルに対応しずらくなります。
例えば商品は自社で確認したい場合や検品などの作業を行う場合、関東圏の事務所から地方に行く必要があると、時間や交通費がかかり、割高になるケースもあります。
システム利用料
WMSと呼ばれる倉庫管理システムの利用料金です。
このシステムを使用して事業者は入庫や出庫の依頼を行う事が一般的です。
最近ではクラウド型のシステムも多くあり、出荷データの自動連係など便利な機能も増えてきています。
月額で10,000~20,000円程度
入庫料
入庫予定の商品を受け入れて格納する作業です。
商品を箱のままカウントするのか、開封して1個ずつカウントして格納するのかで料金は変動します。
また、別途バーコードの発行を業者の方で行ったり、商品コードの付与を行う場合費用が発生します。
1ピースあたり10円~30円
検品料
入庫した商品に破損がないか、商品として問題がないかなどを確認する作業です。
目視で確認が出来ない、製品の動作確認が必要な商品などは単価が高くなる傾向にあります。
1ピースあたり10円~30円
出庫料
保管した商品を出荷データに沿って保管スペースからピッキングしてくる作業料金です。
チラシなどの同梱物があると別途かかるケースもあります。
1ピースあたり10円~30円
梱包料
一般的な宅配便で送れるサイズの場合、商品を箱に入れて梱包する際の費用です。
別途納品書を発行したものを同梱する作業や、特殊な緩衝材や梱包を行う場合は別途費用が発生します。
また、ラッピングや熨斗、が必要な場合も別途費用がかかります。
1個あたり100円~300円
配送料
配送料は商品を送る際の送料の事です。
物流代行会社と契約した場合、物流代行会社の送料で請求が発生します。
一般料金よりも安く商品を発送できる場合が多いです。
また、物流代行会社によっては、自社で配送便を持っている場合もあります。
送料はエリアやサイズによって異なりますが、1個口あたり400円~1,500円
EC物流代行業者に依頼するメリット
メリット1 売り上げ向上の業務に集中できる
自社で出荷作業を行う場合、1注文ずつ発送対応する必要があります。
業者に依頼した場合はこの作業が無くなりますので、時間の短縮になり、その他業務に時間を使う事が出来ます。
メリット2 雇用のコストを削減できる
出荷にかかる作業を自社で対応しない場合、出荷作業にかかる人間を雇用する必要も無くなります。
特に閑散期の場合でも雇用し続けるとコストになってしまいます。
利用した分だけコストが発生する物流代行業者の方が、自社で雇用し続けるよりも結果的には安くなる場合があります。
メリット3 誤出荷が減り物流の品質が安定する
物流代行の業者は物流のプロです。
自社だと誤出荷したり、商品の破損などを起こしていた場合、削減して物流の品質を安定させる事が出来ます。
メリット4 顧客の注文状況や売上、在庫などの管理が楽になる
業者に依頼すると、専用のシステムで在庫状況や顧客の情報も管理できるため管理の部分が楽になります。
複数の店舗を運営していると、店舗ごとの情報しか確認できませんが、業者の専用システムで一元管理する事が出来ます。
メリット5 面倒なバックヤード業務を自動化できる
出荷作業には梱包作業以外にも、送り状の発行、ピッキング、運送業者への引き渡しなどの業務も発生します。
業者に依頼する事で、面倒なバックヤード部分も自動化する事が可能です。
また、業者によっては、受注処理自体も請け負ってくれる場合もあります。
EC物流代行業者に依頼するデメリット
デメリット1 柔軟な対応が出来ない可能性がある
業者との契約で、当日分の出荷までの〆時間が設けられている場合が多いと思います。
その時間以降に出荷したい商品は対応できない可能性があります。
デメリット2 少量だとコスト削減にならない場合もある
1日に数件程度の出荷量だと、業者によっては自社で対応した方が安い場合があります。
自社で対応が出来る数量を把握し、その数値に近づいてきたら業者に依頼する事を検討してみましょう。
デメリット3 物流のノウハウが蓄積されない
何らかの事情で一時的に自社で商品の出荷作業などを行う場合、ノウハウが自社にないと対応に困るかもしれません。
外注全般に言える事ですが、その分野のノウハウが蓄積されないのはデメリットです。
デメリット4 情報漏洩の可能性がある
発送伝票の作成には個人情報が必要なので、その個人情報も業者にわたす事になります。
その情報が漏れる可能性もゼロではないので、依頼を検討している業者が個人情報の取り扱いをどのように規定しているかなども確認しましょう。
EC物流代行業者の選び方と比較ポイント
同じ作業内容でも相見積もりを行う
同じ作業を依頼する場合も、業者によって価格差があります。
1社だけで決めずに最低3社ぐらい相見積もりを行うようにしましょう。
見積もりを比較するときのポイント
- 同じ条件で見比べる
- 将来の拡張性も考慮する
- 費用以外の付加価値を考慮する
相見積もりを取ったら同じ想定条件で見比べてください。
業者によっては梱包料、送り状発行料、ピッキング料金を各項目毎で算出する場合や、その逆に全て出庫料でいくらとしている場合もあります。
項目名が違う場合は、置き換えた上で料金や条件を見比べてください。
また、自社が今後どのような展開を視野に入れているのかも大切です。業者のシステムの拡張性が無いとショッピングモールしか自動連係などの問題も発生するかもしれません。
最後は費用以外で、担当者の対応が問題ないか、柔軟な対応ができるかなども業者を選ぶときのポイントになります。
価格だけで決めない
土地単価の安い地方の物流代行業者に依頼するとコストを抑えられるのでは?と思うかもしれません。
しかし、地方の場合、人手不足で1日あたりに対応できる出荷件数が少なかったり、集荷時間も午前中であったりすると想定していたサイト運営が出来なくなる可能性があります。
価格だけで決めてしまわずに総合的に想定しているサイト運営が出来るかどうかで業者を選ぶこともポイントです。
見積もり時の想定条件を明確にする
業者が見積もりを作る際に、商品の荷姿や、入庫や出庫の頻度、作業の内容などをヒアリングし、作成するのが一般的です。
ネットショップ事業者側が、この想定条件を明確にしないと見積もりが高くなったりする場合があります。
似たような作業でも、商品コードは外装で確認するのか、中身を空けて1ピースずつ確認するのかなどでも料金は変わってきます。
見積もりに必要な情報
- 商材
- 温度帯
- 現在の保管スペース数
- 月間の出荷件数
- 月間の入庫件数
- 配送サイズ
- sku数
- 在庫数
- 1注文あたりの購入点数
上記のような情報は見積もりの依頼を行うと、業者からヒアリンをされる基本的な内容の一例です。
これらの情報を元に業者を見積もりを作成しますので、事前に自社がどれぐらい月間で入出庫を行っているかなどは把握しておきましょう。
業者とのやり取りがスムーズになり、移管を行う日程なども早く決める事が出来ます。
1日の出荷可能件数を確認する
繁忙期やセールになると一気に出荷量が増える可能性があります。
業者側が1日に最大で何件出荷可能かは契約前に必ず確認しておきましょう。
ネットショップ側でオーバーフローにならないように、受注数やサイトオペレーションを調整する必要があるのと、あまりに1日に対応出来る件数が少ない場合、別の業者も検討するようにしましょう。
システムの連携が可能か
ネットショップで使用している受注管理システムやカートシステムが、業者側のシステムに対応しているか確認しましょう。
自動連係出来るシステムがあると、ネットショップ側で出荷データを作成する手間も発生しないので受注処理の時間も短縮されます。
商品にあわせた保管や作業が出来るか
業者によっては、得意なジャンルがあります。
そのジャンルに特化している業者だと、商品の保管のノウハウや作業の効率化を行ってくれるのでコストも安くなる可能性があります。
色々な商品を扱う場合は、依頼する業者が普段気をつけている点など確認しておくといいです。
物流増加時の流動的な対応が可能か
セールや繁忙期、季節商材などは施策によっては爆発的に出荷量が増える事があります。
その場合、業者が対応可能かという事も確認しましょう。
特に季節商材の場合は、指定した日に要望する方も多く、出荷の遅延などはお客様からのクレームとなります。
代引などの希望の決済方法に対応しているか
送り状は運送会社から出力してもらう事になりますので、代引きなどを使用したい場合、業者から出力できるか確認ください。
元払いは問題なく出力できても、代引きの場合は一旦業者の口座に入金される為、断れるケースもあります。
メインはクレジットカードでの注文が多いですが、商材によっては代引きでの注文もまだまだあります。
決済方法が充実している方が好ましいので、代引きも使用したい場合は代引きで発送出来る業者を探しましょう。
自社商品と似た商品の過去実績があるか
業者がこれまでに自社と似たような商品を取り扱った事があるかというのもポイントです。
これまでに扱った事があると業者も作業工程に慣れており、コミュニケーションもスムーズに行う事が出来ます。
逆に業者がこれまで扱った事ない場合、作業工程など入念に打合せをして要望を伝えるようにしましょう。
セット組みやギフト対応、オリジナル資材など希望する作業に対応しているか
商品によっては商品本体と同梱物が別々に管理する場合もあります。
そのような時にセット組みをしてくれるのか、またラッピングなどのギフト対応を行ってくれるのかは確認しましょう。
資材もオリジナルのダンボールやテープ、緩衝材などを支給して業者に使用して欲しい場合も事前に可能か確認が必要です。
EC物流代行業者の立地を確認する
業者の倉庫から発送する場合、立地も重要になってきます。
例えば九州から発送する場合、関東圏までは2日かかりますが中部地方だと1日で到着します。
自社の顧客がどのエリアからの注文が多いか把握し、出来るだけ日数のかからないエリアにある業者を選ぶようにしましょう。
また、割とどのエリアにも早く到着出来る関東エリアの業者もおすすめです。
小ロットでも対応可能か
業者によっては最低100坪の利用や月間の最低出荷件数を設けている場合があります。
少ない保管スペースや出荷件数だと断る業者もいるもで、自社の出荷量がそれほど多くない場合は、小ロットでも対応してくれる業者を選ぶようにしましょう。
スムーズなやり取りが可能か
不明点があった場合の問い合わせに対する返信のスピードや、アドバイスも選ぶ際の重要なポイントです。
お客様から商品破損のクレームがあった場合、代品はすぐに出荷出来るのかなどトラブルがあった際の流れなども確認しておきましょう。
まとめ
この記事ではEC物流代行業者に依頼する際のポイントやメリットデメリットを紹介しました。
ネットショップを運営していて、売上が伸びてくると物流のコントロールは最初の難関と言えます。
仕入やサイトの企画、営業活動など自社でしかやれない事は自社で行い、他社に外注する事でスムーズにサイト運営を行う事が出来ます。
発送などの物流業務は最初に外注した方がいい部分なので、自社のキャパオーバーになる前に予め業者を選定しておく事をおすすめします。