第2回Well-Being教室を開催しました

第2回Well-Being教室を開催しました
【職場におけるパワーハラスメントについて】
〜幸せに健康に豊かに笑って働ける職場環境づくりのために〜
開催日時:2025年6月14日
講師:株式会社及川健康管理士事務所 代表健康管理士 及川寿彦氏
及川氏は健康管理士・健康経営アドバイザー(東京商工会議所認定)として、金融機関やコンサルティング、医療法人での経営統括経験を持ち、従業員の心身健康と企業経営の関係性を深く理解する専門家です。
パワーハラスメント対策が急務となっている背景
職場におけるハラスメント相談件数は年々増加しており、企業経営における重大なリスクとなっています。特にパワーハラスメントは、被害者の心身の健康を害するだけでなく、企業全体の生産性低下、人材流出、企業イメージの損傷など、経営面での影響も甚大です。
パワーハラスメントの定義:3つの要素すべてを満たす必要があります
職場で行われるパワーハラスメントの定義
職場で行われる、以下の①~③の要素すべてを満たす行為をいいます。

①優越的な関係を背景とした言動であって
職場内の地位に限らず、人間関係や専門知識・経験など様々な優位性が含まれます。昨今では「逆パワハラ」も問題になっており、部下から上司へのパワハラも存在することが重要です。
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
個人の受け取り方の範疇で必要な指示や注意に不満を感じても、適正な範囲で行われている場合にはパワハラに該当しません。社会通念に照らし、当該行動が明らかに業務上必要性がない、またはその態様が相当でないものを指します。
③労働者の就業環境が害されるもの
当該行動により、労働者が身体的・精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じる等、労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。強い身体的・精神的苦痛を与える態様の行動の場合には、1回でも就業環境を害する場合があり得ます。
※重要:客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は該当しません。
パワーハラスメントの該当行為と非該当行為
厚生労働省が示すパワーハラスメントのガイドラインでは、具体的な該当行為と非該当行為が明示されています。重要なのは「その行為が業務上必要か」「態様が相当か」という客観的判断です。
🚫 パワーハラスメントに該当する可能性がある行為
- 暴力や脅迫的な言動
- 人格否定や侮辱的な言動
- 隔離・無視・排除的な扱い
- 不当な減給や配置転換
- 精神的・身体的な苦痛を与える過度な業務負荷
- プライバシーを侵害する言動
✅ 適正な業務指導(パワハラに該当しない)
- 業務上必要な指示・指導を社会通念に照らして適切に行う
- 部下の成長を目的とした建設的なフィードバック
- ルール違反や不適切な行為に対する客観的な注意
- 相手の尊厳を保ちながら行う業務改善の指導
実例から学ぶ:パワハラになる叱り方と適正な指導
❌ パワハラになる可能性が高い例

上司が納期遅延について部下を叱責する際に、「給料泥棒!」「100年早い!」「半人前のくせに」といった人格否定的な言葉を繰り返し、大声で怒鳴りつけるケース。
このような言動は、業務指導の域を大きく超え、相手に精神的苦痛を与え、就業環境を害する可能性が高いものです。
✅ 適正な業務指導の例
納期遅延が発生した場合、事実確認を取った上で、「なぜ報告・相談がなかったのか」という業務プロセスの改善点を具体的に指摘し、今後の対応方法を共に考える。相手の言い分を聞き、建設的に問題解決を進める。
業務改善を目的とした冷静で建設的な指導は、部下の成長につながり、職場環境を向上させます。
パワーハラスメント被害者の責任と企業への影響
パワーハラスメント行為者が気付かなければならないのは、その行為にはいくつかの責任が生じるということです。
⚖️ 民事責任
民法709条の不法行為責任に基づき、被害者から損害賠償を請求される可能性があります。また、会社には民法415条の債務不履行責任(安全配慮義務違反)に基づく損害賠償を請求される可能性もあります。
⚖️ 刑事責任
パワーハラスメント行為によって被害者が精神病を患った場合(医師の診断あり)、傷害罪に当たる可能性があります。その場合、15年以下の懲役、または50万円以下の罰金などが科せられる可能性があります。
その他の深刻な影響
- 職場内での信用失墜と地位の喪失
- 家庭への影響と家庭の崩壊
- 人間関係の破綻
- 企業のハラスメント事件として報道される可能性
パワーハラスメント対策がもたらすプラスの効果
企業がハラスメント対策を進めることで、以下のような複合的なプラス効果が期待できます。
- 職場環境の改善:安心・安全な職場環境は、従業員のモチベーション向上につながります
- 生産性の向上:ストレスの少ない職場では、従業員の集中力と創造性が発揮されます
- 人材定着率の向上:離職を防ぎ、優秀な人材の流出を防ぐことができます
- 企業イメージの向上:健全な職場環境は企業ブランドとして対外的にもプラスです
- コンプライアンスの強化:法的リスクの軽減と企業防衛力の強化
パワーハラスメントが発生した場合の対応フロー
被害者からの相談があった場合や、ハラスメント行為を目撃した場合は、以下のような体系的な対応が必要です。
- 相談者・被害者から詳細な状況聴取
- 行為者からの事情聴取
- 事実確認と調査
- 必要に応じて専門家(弁護士、産業医など)への相談
- 適切な対応・処分の実施
- 相談者のメンタルヘルスサポート
- 再発防止策の検討と実施
管理職として必ず押さえるべきポイント

👉 業務指導はパワハラと背中合わせ
部下の成長のために適正な範囲での業務指導は必要不可欠です。しかし、その指導がハラスメントに転じないよう、常に以下を意識してください:
- 相手の尊厳を保つ:人格否定ではなく、行動や結果についての指摘に徹する
- 冷静さを保つ:感情的な怒鳴りつけは避け、落ち着いた態度で伝える
- 相手の言い分を聞く:一方的な指導ではなく、対話型のコミュニケーション
- 建設的な解決策を示す:問題を指摘するだけでなく、改善方法を一緒に考える
- 客観性を持つ:自分の主観や感情で判断せず、業務上の必要性を客観的に判断
改めて日頃の言動を見つめ直す
パワーハラスメント対策は、一度の研修で終わるものではなく、日々の意識と行動の改善が重要です。管理職の方は、以下の点について定期的に自問自答してください:
- 部下への指導は、相手の成長を目的としているか?
- 言葉は落ち着いた温度で発せられているか?
- 相手の事情や立場に耳を傾けているか?
- 自分の感情で行動していないか?
- 相手の人格を傷つけていないか?
Well-Being教室全体の位置付け:心の健康を基盤に
第2回のパワーハラスメント研修は、全10回のWell-Being教室カリキュラムの一環として、「心の健康」の深化と「職場環境の改善」を目指しています。
Well-Being教室の段階的アプローチ
- STEP1:心の健康知識を深める(自分自身の理解)
- STEP2:習得した知識を活かし、率先垂範でスタッフへアドバイス(職場環境改善)
- STEP3:ストレスチェック結果に基づき、組織的に「こころの健康層を増大」させる責任を負う
パワーハラスメント対策は、従業員の心身健康と企業の成長を守る重要な取り組みです。
醍醐倉庫は「しあわせに、健康に、豊かに、笑って働ける会社づくり」を全社で推進し、
安全で信頼できる職場環境を実現します。







